研究課題/領域番号 |
21K04536
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
王 緒 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (00843955)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | データ包絡分析 / 改善目標 / 実現コスト |
研究実績の概要 |
DEAは評価対象の事業体(Decision Making Unit, DMU)が効率的であるかどうかを判断するだけではなく、非効率的なDMUに対し、効率値と改善目標が両方与えられる。しかし、従来のDEAモデルでは、評価対象のDMUの効率性を改善するため、最大の改善量の改善目標を提供している。結局、提供される改善目標は評価対象のDMUから遠く離れ、実現するのが困難であるとしばしば批判されている。DEAの役割は単に効率性を測るだけではなく、効率性を改善する方法も提案できることが重要である。そういった観点から、最小の改善量で効率化を実現するモデルは最適であると考えられる。そこで、本研究では、近年盛んに研究されている最短距離DEAに注目し、より実用的な新最短距離DEAモデルの構築を目指している。 DEAでは、ほとんどの場合が複数の入力と出力となっている。最短距離DEAモデルは評価対象のDMUと改善目標の間の距離を最小化できるが、課題の一つは改善方向ごとに改善コストが異なる可能性があるため、距離が一番近くても、改善にかかる総コストが一番低いとは限らない。DEAの中の多くのモデルに関して、従来のモデルや最短距離DEAモデルはcost-blind(改善目標を実現するためにかかるコストのことを考慮されていない)である。しかし、DMUにとっては、なるべく改善コストを抑えたい。そこで、非効率的なDMUの効率性の改善を行う際に、改善目標の総実現コストを最小化する手法の開発が必要であると考えられる。今年度では、研究代表者の先行研究の考え方・成果を拡張することにより、改善目標の総実現コストの最小化を行った。具体的に、simulated datasetsを生成し、これらのデータセットを用いて、数値実験により、改善目標の総実現コストを最小化できる提案した手法の有効性を検証した。それと並行し、関連文献を調査し、提案手法の改善を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の研究実施計画通りに研究を遂行している。 そして、段階的な研究成果がまとめられており、報告・発信ができている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画通り、進めていく。 まず、関連文献を検索し、提案手法のさらなる改善ができるかどうかを検討している。それと並行し、適切な実データの利用可能性(可能な適用事例)を検討している。 そして、様々な状況に対応できるように、より柔軟性がある最短距離DEAモデルの構築を進めていくのが来年度のもう一つのタスクである。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により、当初予定していた学会出張や研究セミナールの現地参加ができなかったため、その分の旅費が未使用となった。この理由により次年度使用額が生じた。 これから、感染の回復に伴い、研究成果の発信のため、学会出張や研究セミナールの現地参加の旅費に研究費を使用する予定である。そして、次年度、研究のための必要の物品の購入に研究費も使用する予定である。
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