研究実績の概要 |
DEAの役割はDMUの効率性の評価や改善であるため, DEAの分析結果である効率値や改善目標の品質が要求される. すなわち, 評価対象のDMUに対し,(1)品質が保証される効率性の測定と(2)的確な効率性改善目標の提供の双方が必要である. (1)に関しては, DEAの効率値は効率性尺度として,いくつかの性質を満たさなければならない. 特に, 単調性がよく注目されている. (優れたDMUの効率値はそれより劣ったDMUの効率値より大きいこと)(2)の改善目標の提供について, 評価対象のDMUにとって, 手が届きやすい(実現しやすい)改善目標は受け入れやすいので, 適切な改善目標(いわゆる, 最短距離改善目標)の設定が重要である.そこで, DEAでは,性質が保証された効率値や適切な改善目標の提供が必要となる. 伝統的なRAMモデル(Range Adjusted Measure)の品質が優れているため, 伝統的なRAMモデルと最短距離DEAモデルの考え方を結合した. 新しいLRAMモデル(Least-Distance Range Adjusted Measure) の品質が優れている同時に, 最短距離ベンチマーキング情報の提供ができることを示した. さらに, 実データへの適用を通じて, モデルの有効性の検証を行った. 具体的には, (1)RAMモデルやLRAMモデルで得られる効率値に注目し, LRAMモデルはDEAモデルとして, 効率性評価に有効であることを示した. (2)RAMモデルやLRAMモデルで得られる改善目標に注目し, 非効率的なDMUが効率的になるため, 入力と出力の必要な調整範囲を定量化したうえで, 得られる改善目標の間で比較を行った. この比較により, LRAMモデルはいつもより小規模な入力と出力の調整方向を提供している. すなわち, 達成・実現しやすい効率性改善方向を提供していることを示唆している.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染回復がされず, 当初予定していた一部の学会や研究セミナールの現地参加ができなかったため、その分の旅費が未使用となった. この理由により次年度使用額が生じた. これから, 学会や研究セミナールの現地参加の旅費に研究費を使用する予定である. そして, 研究のための必要の物品やデータの購入に研究費も使用する予定である.
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