研究実績の概要 |
DEAにおいて, 非効率的なDMUの効率性を向上させるための改善目標を提供できることが注目されている. 従来のDEAモデルは, 評価対象のDMUより遠い改善目標を提供しており, それに対して, 最短距離DEAモデルはより近い改善目標の提供ができる. 理論的には, 改善目標は評価対象DMUに近ければ近いほど実現されやすく, 望ましいとされる. しかし, 異なるDEAモデルが提供する改善目標が異なるため, 改善目標による効率性改善方針も異なる. 最短距離DEA改善目標は評価対象のDMUに近いとしても, それによる効率性改善効果はどのようになるか. よって, 実データを用いて, DEA改善目標の「効率性改善効果」はどの程度あるかを具体に検証する必要がある. 今年度では, 以下の面から, いつくかのDEAモデルの改善目標の「効率性改善効果」を比較・検証しました. (1) 異なる改善目標に効率性改善方針(入出力改善方向)の数量化や可視化; (2) t期で得られる改善目標をt+1期に持っていかれる際, その改善目標の効率値の算出;(効率的であるかどうかの確認) (3) 改善目標に基づくマルムキスト指数の算出; (改善効果があるかどうか) (4) 改善目標による効率値向上程度の数量化(改善効果の数量化). 具体的な分析に, (DEAモデルを実社会への適用も含み) 日本の小売企業86社からなる時系列データセットを用いることで,3年間を通じて, 異なるDEAモデルによる改善目標の違いを検証した. その結果, 改善目標の「効率性改善効果」の検証や比較を行い, その結果を論文にまとめ, Journalに投稿し, 査読中である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた一部の学会や研究セミナールの参加ができなかったため, その分の旅費が未使用となった. この理由により次年度使用額が生じた. 2024年度では, 研究成果発信のため, 積極的に学会参加や論文投稿を行う予定である. 学会参加費, 旅費や論文投稿費(英文校正料など)に研究費を使用する予定である.
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