研究課題/領域番号 |
21K04538
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
片桐 英樹 神奈川大学, 工学部, 教授 (40325147)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 数理最適化 / 給食献立作成 / 調理スケジューリング / 不確実性 |
研究実績の概要 |
数理最適化を用いて,給食の調理スケジュールにおける作業工程を最適化する数理モデルの構築を行った.フレキシブルジョブショップスケジューリングの考え方を応用し,各ジョブの工程を処理可能な人員に必要人数分だけ割り当てるモデルを考えた.また,全ての調理人は同時刻において1つの工程のみ作業できる制約条件を追加した.さらに,調理人の雇用形態の違いについても考慮した.具体的には,パート社員は正社員の一定時刻後に出勤する制約条件を導入した.一般に,先進国では大量調理に対してはHACCPに基づいた衛生管理が義務付けられている.そこで,提案する数理モデルにおいては,汚染作業区域と非汚染作業区域に分け,汚染作業区域から非汚染作業区域へは一方通行とする制約条件を導入した.定式化したモデルに対して,給食委託会社から提供された実データを用いた数値実験を行った.具体的には,6000食分の料理を作る献立の中で,炊飯班の最適な作業工程表を作成した.実験においては数理最適化ソルバーを使用し,最適な作業工程表を数秒で作成することに成功した.自動で作成した作業工程表に対して,給食委託会社において実際の作業工程作成に携わっている現場の担当者からは実用面で優れていると高い評価を受けた. 自動献立作成モデルについては,過去の献立履歴から料理・食材の提供頻度に関する制約条件を自動生成するアルゴリズムを提案した.この成果により,栄養士にヒアリングを行うことなく料理・食材の提供頻度に関する制約条件を自動で生成することができる.ある自治体の給食献立データを用いた数値実験により,現場の献立作成者にとって違和感のない献立を提案モデルが作成できることを確かめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ研究実施計画どおりに進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に従い,来年度は数理モデルの改善と現場の実データを用いた数値実験および提案モデルの有用性の検証を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症の影響により,参加した国内外の学会がオンラインで開催されたために旅費の一部を使用しなかった.また,一部の研究レポートの購入が遅れたため,次年度使用額が生じた.一方で,近年,調理ロボットや生成AIの研究が急速に進んでおり,当初の予定よりも調査範囲が広くなっている.来年度はそのための調査費用として使用する計画である.
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