研究課題/領域番号 |
21K04554
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
富井 規雄 日本大学, 生産工学部, 研究所教授 (50426029)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 混雑率配信 / 機械学習 / シミュレーション / 鉄道 |
研究実績の概要 |
予備的な検討として,列車の混雑率の分析を実施するために,鉄道会社の協力をえて入手した列車の混雑率データを可視化するプログラムを作成した。また,これをもとに,鉄道会社と視認性,有用性等について討議を行なった。その結果,3 次元の表示は分析には適切ではなく,2 次元のダイヤ図形式の表示が適切であるという意見を得た。また,その際,遅延との関連を明確にするために,遅延と混雑率の両方を同時に表示できることが望ましいとの意見を得た。この結果は,次年度に実装する予定であるが,ダイヤ図上で,遅延を円で,線の色で混雑率を表現するプログラムを試作した。これは,列車の混雑率の予測手法の設計を行なう上できわめて有用なツールとなる予定である。また,予測結果の評価にも有用であると考えている。 前記ツールを用いて,混雑率と遅延との関係の分析を行なった。今年度入手したデータは,平均混雑率であったため,真に有用な結果が得られたとは言えないが,混雑率変化の傾向の分析が可能であることを確認した。 鉄道会社から得た,ある地点での混雑率をもとに,他の区間の混雑率を車両ごとに推定するために,ある地点での混雑率に,機械学習アルゴリズムによって推定した乗率を乗ずるアルゴリズムを考案し,予備的なシステムを実装した。評価の結果,乗率の推定に誤差が含まれる場合には,推定結果では大きな差異が生じるという問題があることが判明した。次年度は,これをもとに他の手法を考案するなど,さらに改良を行なう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定通りに, 鉄道会社から,列車の運行実績と各列車の混雑率に関するデータが取得できた。あわせて, それらを可視化するプログラムのプロトタイプシステムも順調に作成できている。このプログラムの作成においては,いくつかの手法を実装したのち,比較検討を行ない,混雑率と遅延の両方を同時に可視化する手法についての知見を得ている。 さらに,ある地点での混雑率から他の区間の混雑率を推定する手法についても予備的検討を行ない,誤差の度合い等について検討を行なった。その結果,観測値に誤差がある場合,推定手法によっては,大きな差異が出てしまう可能性があることを明らかにした。そのため,推定結果に大きな誤差が生じないような推定手法を用いる必要があることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は, 初年度であったので,可視化が中心となった。次年度以降は,機械学習によるアルゴリズムの構築に注力する。特に,ある地点での混雑率から先の区間の混雑率を車両ごとに推定するアルゴリズムに注力する。あわせて,リアルタイム配信を目標として,アルゴリズムの高速化・高精度化にむけて,何種類かのアルゴリズムの比較検討を行なう。 また, 今年度は, コロナウィルスのために,国際会議等に参加できなかったが,来年度は,積極的に参加し,情報の取得と発信に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの蔓延に従って, 当初参加予定であった国際会議が延期されたこと, また, 国内出張も当初予定通りには実施できなかったため。あわせて, 同様の理由により, プログラム作成外注についての十分な打ち合わせができず, 作業を延期せざるを得なかったため。
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