研究課題/領域番号 |
21K04557
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研究機関 | 金沢学院大学 |
研究代表者 |
石川 温 金沢学院大学, 経済情報学部, 教授 (90308627)
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研究分担者 |
藤本 祥二 金沢学院大学, 経済情報学部, 准教授 (10756026)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 労働生産性 / ベキ則 / 対数正規分布 / 反転対称性 / 準反転対称性 / Gibrat則 / 非Gibrat性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、新型コロナウィルスにより経済が落ち込む以前と以降の世界的な大規模企業財務データの分析比較により、これまでに構築したマクロな経済の統計則を検証し、その結果を用いて経済の回復と成長に必要不可欠な全要素生産性等のミクロ的基礎づけを確立することである。 令和3年度は、その第一段階として2021年版のORBISを入手し、これまで確認してきた売上(Y)/資産(K)/従業員数(L)など企業規模量のベキ則/対数正規分布、(準)時間反転対称性/(非)Gibrat則、3次元空間準反転対称性、企業活動停止率の各パラメータ等を測定した。その結果を本(英文)にまとめ、広く世界に公開した。 また企業財務データで確認されるものと同様の統計的性質が都市人口にも観られることを利用し、アメリカ・イタリア・スペインの100年以上にわたる都市人口の長期的な成長を短期的な非Gibrat性と関係づけ、それを実データで確認した。また、フランスの140年にわたる都市人口データを利用し、これまで日本の土地価格データでしか確認していなかった、準時間反転対称性とベキ則及び対数正規分布の準静的な変化が、都市人口においても確認できることを報告した。これらの研究は、新型コロナウィルスにより変動すると考えられる経済の分析に有用となる。 さらに、経済にとって重要となる労働生産性に関する統計的性質に注目した。具体的には、従来、企業規模量で確認されていた短期的統計的性質(時間反転対称性/(非)Gibrat則)が労働生産性でも成立していることを確認し、それらから労働生産性のベキ分布及び対数正規分布が導かれることを示し、それが実データで精度よく成立していることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果を査読付き論文2本、英文図書1冊にまとめており、当初の研究計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍にある企業財務データを入手し、それ以前のものと比較することにより、企業財務データ等の統計的性質の変化を観測する。
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次年度使用額が生じた理由 |
雑誌「Frontiers in Physics」に掲載した研究論文『Statistical Properties of Labor Productivity Distributions』の掲載料の支払いを次年度に回したため。
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