私たちは、焦げたニオイにより異常を感じるなどニオイで様々な物事を判断している。火災時には、 熱や煙の他にニオイも発生しており、ニオイの変化により火災感知できる可能性がある。ニオイを新しい物理量として、火災感知に活用するには、誤検知について検討する必要がある。今年度は、火災時に発生するニオイと、調理時に発生するニオイを分析し、調理臭を火災と誤検知しないニオイ火災感知の判定基準を提案した。 実験は、1600×1650×2200 mmの小屋内で行った。小屋中央天井部分のガスを採取し、におい識別装置((株)島津製作所、FF-2A)を用いて分析した。火災の標準火源である綿灯芯と木材の燻焼燃焼時及び、ウレタンの有炎燃焼のニオイを火災臭として測定した。調理臭は、食材をフライパンに入れ、カセットコンロの中火で調理した。全体的に火が通り調理が完了した後、火加減をそのままの状態で放置し、焦げた場合のニオイも採取した。食材には、豚肉、カット野菜、鯖を用いた。 木材や生活の中で使用されることの多い、ポリエチレン、ポリプロピレンは、参加熱分解時にアルデヒド系の類似度が上昇した。一方、野菜の調理中(野菜炒め)は、調理開始から芳香族系の類似度が上昇し、アルデヒド系の類似度が減少した。また、調理の途中で放置し焦がしていくと、アンモニアと有機酸系の類似度が減少した。豚肉、カット野菜、 鯖の塩焼きも同様の結果が得られた。このことから、火災時に発生するニオイと、調理時に発生するニオイは区別することが可能であることが分かった。
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