研究課題/領域番号 |
21K04568
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
大鳥 靖樹 東京都市大学, 理工学部, 教授 (60371431)
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研究分担者 |
牟田 仁 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20710297)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地震リスク / 耐震多様性 / 原子力発電所 / スペクトルモーダル解析 / 重要度指標 / 免震 / 床応答スペクトル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、原子力発電所のような大規模かつ複雑なシステムを対象に、多様性を有する機器を導入することにより地震リスク低減効果を定量評価する手法を構築することと、実規模プラントを対象に多様化方策を検討・提案することにある。今年度は、主に以下の2項目について研究開発および各種検討を行った。 (1)耐震多様性を考慮したシステム解析コードの開発:原子力建屋内に設置された機器を想定して、各機器の設置位置における地震応答を簡便に評価する方法を開発した。具体的には、スペクトルモーダル解析法を応用し、機器設置位置における床応答スペクトルを算出するプログラムを開発した。現在、時刻歴解析の結果との比較を行い、提案手法の妥当性を検証している。検証の結果、機器の様々な減衰定数に対応した床応答スペクトルを算出するために必要な減衰補正係数の精度が全体の評価結果に大きく影響していることがわかった。本手法が開発できると、機器間の応答の相関を短時間で求めることが可能となるため、原子力発電所を想定した耐震多様性の定量化の目途が立つ予定である。 (2) 耐震多様性を利用した地震リスク低減対策の検討:耐震多様性を有する機器の一例として免震構造物を対象に地震リスク評価に及ぼす免震装置や建屋のモデル化の影響を検討した。検討の結果、免震要素の終局領域の特性が地震リスク評価に与える影響が明確になった。また、耐震多様性を考慮した機器の重要度を判断するための尺度を提案するために、今年度は共通原因故障を考慮した重要度指標の検討を行った。検討の結果、従来の共通原因故障を考慮しない重要度指標とは補強の優先度が変わってくる可能性があることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原子力施設内の床応答を簡便に評価できる手法の目途が立ったので、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
原子力施設内の床応答を簡便に評価する手法にシステム解析をリンクさせるコードの開発を行い、耐震多様性を有する機器の効果の検討を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で学会発表がオンラインとなり、出張旅費が不要となったため差額が生じた。 本年度は、2022年原子力学会の秋の大会(茨城開催)、2023年春の年会(東大開催)、Dynamics & Design Conference(秋田県開催)で研究発表を行うための学会参加費、旅費を支出する。また、検討結果の整理・図化等の技術的補助業務をアルバイトを雇う費用を支出する。さらに、International Journalへの投稿の英文校正・投稿費用・等を支出する予定である。2021年度の差額は、本年度の旅費の一部に充てるとともに、解析結果の整理等の技術補助の要員確保に充てる予定である。
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