研究課題/領域番号 |
21K04572
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研究機関 | 関西福祉科学大学 |
研究代表者 |
木村 貴彦 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (80379221)
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研究分担者 |
岩原 昭彦 京都女子大学, 発達教育学部, 教授 (30353014)
八田 武志 関西福祉科学大学, 健康福祉学部, 教授 (80030469)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 認知機能 / 高齢者 / 就労 / エラー |
研究実績の概要 |
本研究の最大の目的は高齢期に関わる認知的側面の視座を加え,高齢者の就業機会の増大と促進に貢献することである.今年度は第一段階として高齢者のエラーに関わる実態についてデータの収集と分類を行った.すなわち,産業従事経験による認知機能の評価を行い,異なる産業・労働形態におけるエラーやヒヤリ・ハットの経験を系統的に調査し,就業時における高齢者の事故,エラーの実態把握に取り組んだ. まず,これまでの縦断的調査で蓄積されたデータを用いて職業経験の違いが注意機能に及ぼす影響を検討した.2016年から2019年の調査に連続して参加した72名を対象とした.事前に配布された「日常生活調査票」に記載された職業に基づいて認知機能のうち注意機能を測定するためのD-CAT(Digital Cancellation Test:数字末梢課題)の成績を比較した.D-CATは1枚の用紙にランダムな順序で並んだ一桁の数字について,指示された数字を1分間の間にできるだけ早く見落としのないように抹消する作業検査であり,1文字抹消条件と3文字抹消条件での作業量などを評価した.年齢を10 歳ごとにまとめて分類して分析した結果,80 歳までの作業量は変わらず,80-90 歳になると低下する傾向にあった.職業については有意な差は見られなかった.見落とし率について,2017年の1文字抹消条件では「その他」が他より有意に高く,2018年の3文字抹消条件では「主婦(主夫)」,「無職」より「その他」が有意に高かった.これらのことから,職業による作業量に全体的な違いはみられず,見落としには違いがみられた. さらに,新たな集団を対象として予備的調査を実施し,失敗傾向質問紙や主観的な認知機能低下に関する尺度を用いるとともに職業経験や就業中のエラーに関する質問内容を検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響で縦断的調査を実施することができず,これまでに蓄積されたデータから分析を行うとともに,小規模な集団を対象とした予備的調査を行うにとどまっているため.
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今後の研究の推進方策 |
予備的調査の結果に基づき調査内容を検討するとともに,縦断的調査のみならずWeb調査など柔軟な方法を採用することで効果的に必要なデータを収集していくこととする.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの状況のため調査が実施されなかったことが主要因である.次年度以降は再開される予定であり,調査実施旅費などで計画的に執行していく予定である.
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