研究課題/領域番号 |
21K04575
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研究機関 | 鳥羽商船高等専門学校 |
研究代表者 |
坂牧 孝規 鳥羽商船高等専門学校, その他部局等, 教授 (80256627)
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研究分担者 |
土井根 礼音 東都大学, 幕張ヒューマンケア学部, 助教 (20784424)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 船舶動揺 / 波向き / 生体の立位姿勢動揺 / 予備的姿勢調節機能 / 重心動揺 / 視覚 |
研究実績の概要 |
本研究では、学生らの乗船実習の経験が、船舶動揺に対する生体の姿勢制御に及ぼす影響を、生体の骨格構造などの個体差を考慮し、船員としての適正の有無を船舶動揺に対する生体の立位姿勢動揺などから診断する手法を開発する。さらに、船舶動揺に対する生体の適応能力を身につけるために必要な船舶動揺を、学生の身体的特徴に応じて,陸上の動揺装置を用いて発生させる制御手法の開発を行う。本年度の主な研究実績を以下に示す。 (1)船舶環境体感装置の開発 画像と連動する形で動揺が発生可能な、動揺装置のハードウエアの制作を行った。画像の描画方法の検討を行った。 (2)個体差を考慮した生体反応の解析・診断アルゴリズムの開発評価 操船シミュレータで発生させた波向きの異なる波映像(波なし、前方、左前45°、左横90°)に対する実験協力者8名の立位姿勢動揺の解析を行った。実験協力者の重心動揺の総軌跡長の解析では、総論として、実験協力者が操船シミュレータの波浪映像を見ることで、重心動揺が優位に大きくなっていることが示された。同様に、操船シミュレータが実験協力者に提示する波浪映像の波向きによって、実験協力者の重心動揺の軌跡の横成分に対する縦成分の比に有意差があることが示された。これは、生体の下肢の関節構造に基づき、生体の立位姿勢動揺の制御方法が、生体の前後方向と左右方法では、異なっていることを、重心動揺の動きから示していることになる。実験協力者は、操船シミュレータの波向き映像の角度に応じて、姿勢動揺が生じていることがわかった。また、個別の実験協力者について実験結果を観察すると、視覚による姿勢動揺には個体差あることがわかった。本解析は、視覚による生体の予備的姿勢調節機能の評価であり、開発した本解析手法が、生体の姿勢調節機能能力の評価手法として有効である可能性示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
船舶環境体感装置のソフトウエアの開発が遅れたため、同装置を用いた実験を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)船舶環境体感装置の開発 波画像と連動して、制御するためのソフトウエアの開発を行い、装置の機能評価を行う。 (2)個体差を考慮した生体反応の解析・診断アルゴリズムの開発評価 開発した立位姿勢動揺の評価手法を用いて検出される視覚で捉えた波浪映像に基づく姿勢動揺の個体差は、個々の被験者の船舶動揺に対する生体の適応能力の評価指標になる可能性があるため、操船シミュレータを用いた実験で収集したデータを用いて、AI応用した操船者の船舶動揺に対する生体の適応能力の評価手法の開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品が購入できない、少額の残金が生じた。
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