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2022 年度 実施状況報告書

超小型衛星を用いた防災・減災に資する新方式の海底地殻変動データ送信の実証実験

研究課題

研究課題/領域番号 21K04587
研究機関名古屋大学

研究代表者

田所 敬一  名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (70324390)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード海底地殻変動観測 / プレート境界地震 / 南海トラフ / 防災・減災 / キューブサット / 衛星通信
研究実績の概要

1.データ送信プログラム更新とデータ受信プログラム作成
音響測距結果を人工衛星経由で送信するために,マイクロコンピュータESP32に組み込む送信プログラムを作成した.また,サーバでは指定したポートにデータが送られてくると,これをファイルに保存するプログラムを作成した.送信にはUDP通信を採用することとした.これらのプログラムの動作試験として,まずは,ASCII形式のデータをソケット通信によって送信する試験を2023年3月14日〜22日に研究室内において実施した.試験には模擬船上局を用い,予め保存しておいた音響測距生波形をノートPCから1分毎に処理用PCに送信し,処理用PC内で相関処理を行った後にWi-Fi経由で研究室内のサーバへ送信した. その結果,送受信およびファイルへの保存までの一連の手順が問題なく行えることを確認した.
2.リアルタイム高精度GNSS測位実験
海域においてリアルタイム海底地殻変動観測を行う際に必須となるリアルタイム高精度GNSS測位試験を行った.補強情報はTrimble社のサービスであるCenterPoint RTXを用いた.陸上での静止体の試験を2022年6月16日〜7月7日に名古屋大学屋上で,沖合での静止体の試験を 2022年7月22日に銭洲岩礁で,海上での移動体の試験を2022年8月16日〜8月24日に那覇〜宮古海峡沖〜新宮〜紀伊半島沖を航行する船舶にて行った.サンプリング間隔は1秒,測位に用いた衛星はGPSとGLONASSである.その結果,静止体では測位結果が安定している期間はmmオーダーでの測位が可能であり,移動体では測位精度は平均で2-3cm程度,95%点では水平7cm,上下±10cm程度であることが確認され,海底地殻変動観測にも有効であることが確認された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の課題となった高精度なGNSS測位の試験は,陸上静止体,沖合静止体,海上移動体の試験を予定通り行い,海底地殻変動観測にも有効であることが確認された.また,人工衛星経由で音響測距データを送受信および保存するプログラム群の作成と試験は予定通り進んでいる.本来ならば,使用するキューブサット(超小型人工衛星)が2022年10月12日にJAXAのイプシロンロケットにより打ち上げられる予定であり,これを用いた通信試験を行うことにしていたが,ロケット側の不具合によって打ち上げが失敗した.これは当方の研究進捗状況が原因ではない.よって,総合的におおむね順調に進展している判断した.

今後の研究の推進方策

当初予定のキューブサットの打ち上げは失敗に終わったが,再度の打ち上げに向けて衛星の製作に着手されており,次回の打ち上げ成功を受けて本研究課題で開発しているシステムの運用を行うため,開発研究を続行する.昨年度に作成したデータサイズを縮減するプログラムをESP32に組み込むとともに,1分間隔で送られてくる音響測距結果を1日分(1440回分)まとめてバイナリ形式で送受信するプログラムの作成を行う.このプログラムが本課題で開発するシステムの最終形である.このプログラムを用いた人工衛星経由でのデータ送受信試験として,安価で利用できるStarLinkを活用する.まずは名古屋大学屋上で試験を行い,プログラムの改善点の洗い出しと修正を行う.次に,伊勢湾等の海上から音響測距結果を送信し,陸上のサーバで受信する試験を行い,システムの完成とする.リアルタイム高精度GNSS測位としては,「みちびき」を用いたサービスの利用も検討する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] CenterPoint RTXによるGNSS測位試験2022

    • 著者名/発表者名
      田所敬一, 小池遥之, 松廣健二郎
    • 学会等名
      日本測地学会第138回講演会
  • [学会発表] LPWA(LoRa)モジュール搭載2Uキューブサットによる山間および洋上防災データの収集技術実証2022

    • 著者名/発表者名
      村上幸一,徳光政弘,今井雅文,梶村好宏,伊達勇介,今井一雅,高田拓,入江博樹,前田恵介,田所敬一
    • 学会等名
      第66回宇宙科学技術連合講演会

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公開日: 2023-12-25  

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