研究実績の概要 |
1.実海域における自動データ圧縮試験:海底地殻変動観測で取得する音響測距データを人工衛星経由で送信するためには,データサイズの圧縮のために生波形(1回あたり64KB)から自動で測距信号の到達時刻を読み取る必要がある.この一連のプログラムを作成し,その動作試験を実海域で行った.試験日は2023年9月6日から8日であり,沖縄本島南方に設置している海底局に対して音響測距を行った.その結果,一連のプログラムは問題なく動作し,さらに生波形と到達時刻のファイルが処理PC内に保存できていることが確認された. 2.衛星通信実験:本研究で使用予定であった通信衛星は打ち上げ失敗によって使用できないため,やむなく別の通信衛星システムStarLinkを用いて実験を行った.衛星への送信には当初ESP32を使用していたが,StarLinkのモデムとの接続が途切れることが多かったことからRaspberry Pi 4を用いることにした.StarLinkを介して送信されたデータはUDP通信によって研究室内に設置したモバイルルータ経由で収録した.実験は2023年8月10日から2024年1月24日に実施した.その結果,全239,867個のデータのうち224,027個が受信され,UDP通信に伴うパケット落ちは約7%であった.
以上の結果から,実海域での海底地殻変動観測データから自動で信号到達時刻を読み取り,人工衛星経由でデータを陸上に送信するまでの素要素技術が確立した.
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