研究課題/領域番号 |
21K04591
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
大堀 勝正 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (90807281)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 風水害 / 外れ値 / 確率モデル / リスク尺度 / 水文統計学 |
研究実績の概要 |
研究初年度の令和3年度では,観測規模の風水害に対する財務安全基準の実績分析を中心に行った.具体的には,申請者が考案した破産確率を用いて,1)三陸鉄道(岩手県),2)土佐くろしお鉄道(高知県),3)高千穂鉄道(宮崎県),4)その他の第三セクター鉄道(9社)を対象として既往の風水害に基づいて破産確率を財務安全基準とした場合のリスク尺度としての効果を実証的に分析した。さらに,次年度(令和4年度)にまたがる研究内容として,既往最大を大きく上回る風水被害と破産確率を用いた場合の財務安全基準を比較し、データ制約下における破産確率の推測精度の課題を検証している。 令和4年度では,観測データの制約下では外れ値のような位置づけにある大規模損害の推定方法に関して水文学・水工計画や金融工学等の研究論文や事例等を広範に調査し,レビューを行った.一方,通常は安定した経営を行っている企業が,新型コロナウイルス感染症(コロナ禍)によって既往最大を大きく上回る規模で売上高が急激かつ大幅に減少したこととの類似性に着目し,複数の企業を対象にコロナ禍による売上高の大幅減少を調査し,大幅な売上減少を推定する確率モデルを考案し,実績データを基に実証分析を行い,リスク基準に相当する確率を実績データから検証した.その研究成果を査読付学術論文(英文)として投稿した.このモデルは水文統計学で考案された分布推定法を応用したものである.そこで,本研究の主要テーマである鉄道事業者の風水被害における外れ値ような大規模損害の推定にも応用する方法論として研究中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度もコロナ禍により出張および現地調査を行えなかったため,データ分析を中心とする研究にならざるを得なかった.しかしながら,事例やデータ分析によって仮説を検証できる結果を一定程度得ることができた.
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今後の研究の推進方策 |
データ分析等の研究成果を論文としてまとめ,発表および投稿論文を行う予定である.また,データ分析結果を考察・検証するため,出張,現地調査,関係者との議論を行う必要があると考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で出張を禁止されたため,旅費が0円であったためである.
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