研究課題/領域番号 |
21K04595
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研究機関 | 大阪産業大学 |
研究代表者 |
小田 和広 大阪産業大学, 工学部, 教授 (00185597)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サイバーフィジカルシステム / 斜面災害 / 危険度 / 豪雨 / 現地計測 / 数値シミュレーション / データ同化 / 体積含水率 |
研究実績の概要 |
近年,日本では,集中豪雨による斜面崩壊が多発している.集中豪雨時には,斜面崩壊の危険度は急激に増加するため,判断が間に合わない場合が非常に多い.本研究では,このような問題を解決するため,2時間程度といった短時間先の斜面崩壊に対する危険度の評価手法を提案することを目的としている.すなわち,申請者らが提案したサイバー・フィジカルシステム的発想に基づく斜面解析手法を不飽和状態だけでなく地下水位の形成まで忠実に再現できるように改良する(2021年度).室内での模型実験結果に基づき提案された初期擬似飽和体積含水率(IQS)を斜面崩壊に対する危険度の評価指標として実際の現場に適用できるように拡張する(2022年度).サイバー・フィジカルシステム的発想に基づく斜面解析手法にIQSによる斜面崩壊の危険度の評価指標を導入することにより,土中の水分状態に基づく豪雨時の斜面崩壊の危険度評価手法を開発するとともに,実事例を通じてその有用性を検証する(2023年度). 現在までのところ,申請者らが斜面監視モニタリングを行っている斜面において,平成30年7月豪雨時において観測された地下水位の形成をサイバー・フィジカルシステム的発想に基づく斜面解析手法によって再現可能であることを確認した.また,同のり面ではRTK-GNSSによって変状が観察されており,変状が報じた時刻と地下水位がピークに達する時刻がほぼ一致することを明らかにした.したがって,こののり面は研究対象として非常に有用であることも分かった.このように,予定を上回って研究が進捗しているので,この斜面とは別の斜面においてもサイバー・フィジカルシステム的発想に基づく斜面解析手法の適用を行っている.加えて,2022年度に実施予定のIQSによる斜面崩壊の危険度の評価指標の導入について前倒しで検討を進めている なお,斜面崩壊の発生に備えて,現地計測を継続的に実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究代表者らが開発した融合粒子フィルタを用いたデータ同化手法では,人為的な試行錯誤を省き,アルゴリズムが自動的に最適な結果を選ぶため,自動化が可能である.そのため,効率的に研究を進めることが脳である.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の後半には,2022年度に取り組む予定にしていた危険度評価指標としてのIQSの適用を行っている.それ以外にも追加として,FS 指数,土壌雨量指数,地下水位なども斜面の評価指標としての適用性を追加して検討する予定である
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ関連で国内外の会議や情報収集のための出張が出来なかったため, 今年度はwithコロナで国内外で出張(現地計測地点,国内外の学会,研究集会など)する予定
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