研究課題/領域番号 |
21K04600
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研究機関 | 国立研究開発法人防災科学技術研究所 |
研究代表者 |
根本 征樹 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主任研究員 (30425516)
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研究分担者 |
荒川 逸人 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究部門, 主幹研究員 (00833774)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 雪氷学 / 吹雪 / 吹きだまり / 雪氷災害 |
研究実績の概要 |
近年頻発する、激甚化した暴風雪で発生する吹きだまり発生リスクを正しく評価し、雪国の防災力を飛躍的に高めるため、本研究では、ドライブレコーダー等から得られる画像や位置情報などの簡易な計測結果と定量的画像解析に基づき高解像度の吹きだまり発生域データを得る新たな手法を開発する。さらに試験対象地域において、風向風速の変化に伴う吹きだまりの発生箇所や量の変化も考慮した高度な吹きだまりハザードマップ作成に応用するとともにこれらの成果を実証実験により検証し、暴風雪対策に資する実用的な吹きだまり対策手段を確立する。 積雪地域において発生する吹雪・吹きだまりは、交通インフラを著しく阻害するほか、車両スタックによる死亡事故の要因となるなど、経済的・人的損失の危険性が極めて高い現象である。特に吹きだまりは、小スケールの微地形の影響により発生域が時空間的に極端に変化するなど、発生域の予測や現況把握は現状では極めて困難である。以上を踏まえ、本研究では簡易な観測に基づく吹きだまりの画像解析手法を確立し、それにより高解像度の吹きだまりハザード情報を構築することを目的とする。計画初年度では、ドライブレコーダー等を用いて道路の路肩に沿って発生する吹きだまりや堆雪状況の画像と位置情報を移動観測により同時に記録し、定量的画像解析に基づき積雪量を得る手法を検討したほか、吹きだまり発生位置を地理情報システム(GIS) 化した。また観測対象地の地理データも活用し、吹きだまり発生位置と微地形・地物との関係についても検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドライブレコーダーをはじめとする小型カメラを車載した移動観測により路肩の堆雪、吹きだまり状況の画像計測が可能であることを示すとともに、移動観測の実施に成功した。また吹雪および吹きだまりの発生状況と地形要素との関連に関する画像データの取得にも成功するなど、当初目的としていた「簡易的な画像計測に基づく吹雪が起きやすい領域の抽出」という課題解決に資するデータの蓄積、および画像計測による積雪量の推定等に成功した。 以上により、本課題については(2)おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
画像データについて、吹雪・吹きだまりが発生する前と発生後の状況との比較から、吹きだまり発生箇所およびその量を抽出し、微地形との関係を明らかにする。その際、風向依存性(現地における吹雪・吹きだまり発生時には北西風および北東風が卓越) にも着目するほか、風速等の気象要素(気象庁AMeDASデータを利用) と吹きだまり量との関係も明らかにする。冬期前半に、吹きだまり無しの状況の地形データを取得しておき、その後、吹雪発生時およびその事後に随時計測を実施し、差分データから吹きだまりを評価する。また必要に応じて、ドローンによる空撮・画像解析を実施し、本研究手法の誤差評価および比較検証も実施する。得られたデータから吹きだまり発生箇所を抽出し、地理空間情報システム(GIS) 化するとともに、対象地域における吹きだまりハザードマップを作成する。研究対象地としては吹雪・吹きだまりの発現頻度が極めて高く、冬期に複数回、吹きだまり観測の機会が期待できる北海道道東地方(標津郡中標津町など)に加えて、申請者の所属機関の所在地である山形県内の吹雪・吹きだまり発生地域(庄内平野など)も対象とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
冬期の野外観測地として北海道標津郡中標津町を想定しており、冬期に複数回の渡航可能とするための出張旅費を十分に確保していた。しかしコロナ禍のために出張回数が制限されたことや、申請者所属機関のプロジェクト研究において、同じ北海道の道東地方(根室地方北部)に出張する用務が生じて、その際に当該研究課題の観測を併せて実施したことから旅費が節約され、それにより次年度使用額が生じた。 使用計画について、次冬期の観測において観測対象地の無雪時の地形調査、積雪時の吹きだまり調査などが最低限必要であり計画当初よりこれらのための旅費を計上しているが、吹雪発生時におけるリアルタイム観測や風速観測なども想定され、更なる渡航費用が必要となるため、次年度使用額をこれに充てる。その他、観測に必要となる消耗品についても一部と充てる。
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