研究課題
2023年度は、それまでの調査結果をまとめた。年度で調査した花崗岩地帯(南木曽(長野県)、岩国(山口県)、広島(広島県)、石垣島(沖縄県))の斜面土壌の風化様式の違いを受け、対象地域を絞って地形調査を行った。すなわち、2014年に発生した西日本豪雨(広島県広島市)と2010年に石垣島を襲った大雨による土砂災害に焦点を当て、ArcGIS (Esri社) に 5m×5mのDEM データと防災科研により収集された崩壊地データを取り込むことにより、斜面の特徴を検討した。同じ斜度をもつ斜面でであっても崩壊が起こった斜面と起こらない場合がある。この実態を考慮するためには、傾斜角ごとの崩壊発生率を示す必要がある。これは、傾斜角ごとの崩壊発生地点数を、その地域全体における当該傾斜角をもつ地点数で除すことにより求められる。この作業を、広島地域と石垣島地域で行い比較した。崩壊地の地点数は、広島が326地点、石垣島が203地点で100以上の差があるものの、傾斜角ごとの崩壊件数には大きな差はなかった。共に最も崩壊した傾斜角は30~35度であった。広島では、傾斜角が30度から35度の範囲をピークとして、それよりも急勾配であっても、発生率が低かった。一方で、石垣島での崩壊発生率は、斜面勾配が45~50度でピークとなり、それ以上の傾斜角では崩壊件数が0のため、発生率も0となった。石垣島は年中温暖な地域で風化に伴う粘土化が進行しているのに対し、広島では寒暖差が大きく、風化で生成された真砂がそのままの状態で斜面上に残されていることが同時多発的に崩壊を引き起こしたためと考えられる。
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Impact
巻: 1 ページ: 28-30
SWBSS ASIA 2023 First International Conference in Asia on Salt Weathering of Buildings and Stone Sculptures
巻: 1 ページ: 267-274
土木学会論文集
巻: 79(2) ページ: 22-22026
10.2208/jscejj.22-22026
新砂防
巻: 75(5) ページ: 3-14
10.11475/sabo.75.5_3