2017年に南アルプス・仙丈ヶ岳の北東斜面で大規模な雪崩が発生し,倒木が生じた。そこで森林の被害形態や被害範囲を調査するとともに,雪崩の発生条件の推定を試みた。空中写真判読と現地調査から,標高2,200 m 以上の急傾斜地で雪崩が発生し,3.5 haの森林を倒壊したことが明らかになった。倒木被害範囲および幹折れ木のサイズを現地調査し,シミュレーションによって得られた雪崩速度分布を補正し,雪崩による森林の被害範囲予測を行った。また,倒木によって地表面の粗度が減少することで,次の雪崩の到達範囲がどの程度拡大するかを予測した。さらに,根返りによって生じた裸地の面積や,生産された土砂量を見積もった。
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