研究課題
2021年秋から2023年8月まで、新潟県の信濃川支流の大河津分水路沿いに設置されている樋管内部から、堤体内部の物質量分布を宇宙線ミューオンにより観測する実験を行なった。この樋管は昭和50年代に設置された旧樋管と2019年に設置された新樋管が隣接している。樋管直上に積層された土質が異なる事を想定して、二つの樋管での観測データの比較を行うことにより、層構造の違いがミューオンフラックスにどの程度反映されるかを検証する良いデータサンプルである。2023年の途中には旧樋管の撤去工事が始まり、限られた箇所での観測データとなったが、凡そ2年弱に渡るデータの蓄積を行うことが出来た。また、この期間に、新樋管や旧樋管周辺に設置された1立方メートル程度のハンドホールをミューオンの観測データから明瞭に位置と大きさを特定し、この成果を日本物理学会や土木のシンポジウムでも報告をした。現在、詳細な解析は未完であるが、旧樋管と新樋管のデータにはミューオンフラックスの微妙な違いを検知している。これが土質の違いによるものなのかは、研究期間外になったが2024年4月に旧樋管の開削工事が行なわれ、旧樋管や新樋管直上の土構造の詳細なデータが得る事が出来たので、今後ミューオンの観測データの比較を行っていきたいと考えている。この研究においては土木工学の研究者の協力は不可欠であり、また工学分野での新たな観測技術の提示に繋がったと考えている。さらに、他県の河川での陥没地点の観測の可否の問い合わせもあり、本研究は宇宙線イメージングのインフラ点検への実装に向けた実証実験の一つとなったと考えている。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)
地盤工学会誌
巻: 72 ページ: 24-28
Proceedings of Science (ICRC2023) 540
巻: 444 ページ: 1-7
10.22323/1.444.0540