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2021 年度 実施状況報告書

多角的な監視による富士山の噴火予測精度高度化の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K04613
研究機関東海大学

研究代表者

長尾 年恭  東海大学, 海洋研究所, 研究員 (20183890)

研究分担者 鴨川 仁  静岡県立大学, その他部局等, 特任准教授 (00329111)
楠城 一嘉  静岡県立大学, その他部局等, 特任准教授 (10549504)
上嶋 誠  東京大学, 地震研究所, 教授 (70242154)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード富士山 / 噴火予測 / 地磁気観測 / マッチドフィルタ / 火山性地震
研究実績の概要

令和3年度の当初計画では、山頂に位置する認定NPO法人「富士山測候所を活用する会」が管理をしている旧気象庁・富士山測候所に新規観測点の設置を計画 していたが、コロナの状況が改善せず断念した。山頂の観測拠点は厳しい気象条件に耐えるため、極めて気密性が良く、密閉性の高い建物となっている。そのため宿泊者に登山前のPCR検査陰性と、2週間におよぶ検温が確認できるものという条件を満たす者だけが山頂での作業が許可されるという極めて厳しい条件が課された。
そのため令和3年度は、令和2年度に別途予算で設置した静岡県側新五合目・太郎坊地磁気観測点周辺の環境調査と、地磁気データ表示のためのポータルサイト開設や、主成分解析 (PCA)および独立成分解析(ICA)を組み込んだ地磁気データ解析システムを構築した。
地磁気観測点周辺の環境調査の重要性は、研究分担者である上嶋らがこれまでにも伊豆半島の全磁力データの解析等を通じて強調してきた。そのため令和3年 10月に、可搬式の全磁力計測装置を用い、太郎坊地磁気センサー周辺の詳細な全磁力測定を実施し、地磁気勾配図を作成した。
地磁気データ解析システムについては、プラットフォームをPythonとして開発を行った。解析には太郎坊(tarobo)の他、東大地震研(FJ1, todai),国土地理院 (富士吉田, gsi_fujiyoshida)および気象庁・柿岡地磁気観測所の全磁力データを用いた。
火山性地震の高感度検出については、共同分担者の楠城が中心となりマッチドフィルタ法を適用する事とし、予察的な解析を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和3年度の当初計画では、認定NPO法人「富士山測候所を活用する会」の富士山頂観測点に磁力計を設置する予定であったが、やはりコロナの状況が改善せず、特に山頂での作業が大きく制限される事となった。そのため山頂への地磁気センサーの設置を次年度以降に延期する事とした。
地磁気データ解析システムについては、概ね順調に開発を行う事ができた。今後、国土地理院および気象庁からのリアルタイムでのデータ提供に関する協定を締結する予定である。
火山性地震の高感度抽出システムについては、順調に開発が進んでいる。今後は解析に使用するテンプレート地震の改良等も行っていく予定である。
火山監視では、ポータルサイトを通じてのリアルタイムのデータ公開およびそのデータを見方を一般市民に判りやすく解説する事が、火山噴火に対する基礎知識の底上げにも、啓発活動としても重要である。令和3年度にはその第一歩として、太郎坊観測点のデータの公開システムを試作した。

今後の研究の推進方策

噴火に先行する現象は地磁気変化も火山性地震の変化も微小である可能性が高い。そのため、いかに微小な変化を客観的に抽出出来るかが課題となる。火山性地震については、現在はマッチドフィルタ法を用いて、発生個数を気象庁が従来の方法よりおよそ1桁多く決定できるが、マグニチュードの決定については、今後の課題である。
地磁気変化については、いかに日変化や、熱消磁による全磁力変化を高精度で検出できるかが課題であり、現状は主成分解析(PCA)および独立成分解析(ICA)を解析システムに組み込んだ。今後、人工知能の導入や、火山性地震およびGNSSによる山体の変動等との比較を行えるシステムとしていく所存である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ渦により、富士山山頂での観測点新設作業が延期となったため、次年度の営繕工事等に繰り越した予算を使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 太郎坊における全磁力測定とそのデータ評価2022

    • 著者名/発表者名
      長尾年恭, 鴨川 仁
    • 学会等名
      認定NPO法人「富士山測候所を活用する会」第15回成果報告会講演予稿集

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公開日: 2022-12-28  

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