研究課題/領域番号 |
21K04615
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
飛田 哲男 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (00346058)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 地すべり / 地震 / 火山灰土壌 / SPH法 / 常時微動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,地震による火山砕屑物の崩壊メカニズムを明らかにし,それに基づいた土砂災害ハザードマップ作成法を提示することである.まず,火山灰質粘性土の動的応答特性に着目し,物理的・力学的性質を室内試験で明らかにする.さらに,地震時の火山砕屑物の崩壊について,常時微動による振動特性から推定される地形・地質構造を考慮した数値解析を行うための適切なパラメータ設定手法を構築する. 21年度は,地震による緩傾斜地の地すべりに対する数値解析法としてSPH法の適用性を検討した.まず,乾燥砂の円柱引抜き試験を行い,それに対する内部摩擦角に関する解析感度を検証した.次に,北海道胆振東部地震で発生した厚真町の地すべり,および東北地方太平洋沖地震で発生した福島県白河市葉ノ木平の地すべりの再現を試みた.円柱試験に対する解析では,安息角を内部摩擦角として設定すると,傾斜角30度では実験値とすべり量がほぼ一致したが,傾斜角を小さくした場合は過小評価となった.葉ノ木平の地すべりに対する解析では,デジタル標高データを活用し,詳細な地形を再現した解析を行った.その結果,実際のすべり領域とほぼ等しいすべり領域を抽出できた.しかし,この結果は斜面の傾斜角に依存する傾向が高く,実際には滑っていない地点でもすべりが発生する結果となった.未だなぜ特定の場所が滑るのかという疑問を解消するには至っていない. 常時微動計測結果からすべり面を特定するための試みとして,加速度H/Vスペクトルをカラースペクトルに変換し,機械学習によって地盤を分類する方法を考案した.これにより,8地点のK-NET観測点で計測された50gal以下の地震動1,667波のカラースペクトルを用いて観測点の地盤構造が分類できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により,現地調査に十分な時間が取れず,原位置サンプリング試料が取得できなかった.このため,室内試験ができず,適切な解析パラメータの値が設定できていない.
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今後の研究の推進方策 |
現地調査を行い試料を採取する必要がある.同時に常時微動観測と地盤調査を行い,地盤情報と常時微動に関するデータベースを作成し,カラースペクトルによる地盤分類法の有効性を検証する. SPH法による動的解析法では,時間刻みを小さくする必要があるが,それが誤差を生む要因にもなっているとの既往の研究があるので,その点について検討し,解析手法を改良する必要がある.
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