研究課題/領域番号 |
21K04619
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研究機関 | 弓削商船高等専門学校 |
研究代表者 |
伊藤 武志 弓削商船高等専門学校, 総合教育科, 教授 (10435472)
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研究分担者 |
森 耕太郎 弓削商船高等専門学校, 電子機械工学科, 助教 (00804519)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ロケットストーブ / スターリングエンジン発電 / 温水器 / 防災 / 減災 / エネルギー |
研究実績の概要 |
本研究は、災害時の利用を想定し、依然製作した作製検討したロケットストーブ―スターリングエンジン発電システムの再構築を行なった。昨年度は、災害時に活用可能な可搬式のシステムの構築を行なった。併せて、災害時のシャワー等の提供を目的としたロケットストーブを改良した温水システムの構築も行なった。この温水システムは、温水だけでなく過熱水蒸気の取得も検討し、災害時に蒸留水の確保や過熱水蒸気による殺菌利用も目的としたものである。 以前、ADMIEXCO社と設計したスターリングエンジン発電機は教育使用も考慮し作製したものである。この発電機は強い火力が必要であり、耐熱レンガで燃焼部を囲む必要があった。そこで可搬式システムも考慮し、ロケットストーブから再製作し、軽量の耐熱素材で燃焼部を囲み、台車に乗せることが可能な大きさのロケットストーブを製作した。また、以前のスターリングエンジン発電機システムは、作動時に振動が大きく非常に不安定であったが、本可搬式発電システムは安定した構築であった。 また、スターリングエンジンはロガー等を用いて計測し、安定した運転の分析を行った。その結果、以前の装置と比べて、安定した燃焼が確認できた。しかし、スターリングエンジンにブレーキなようなものがかかり稼動しなくなった。そのため、現在原因解析およびスターリングエンジン発電の再構築を行っている。 ロケットストーブを利用した温水システムの構築は、一般的なロケットストーブに銅管で作製した熱交換器を設置して製作した。このロケットストーブは平均320℃程度の燃焼で1.3L/min以下の遅い流速で80℃を超え水蒸気も確認できた。今後、熱コン牡蠣の材質、長さ、太さを検討することで安定した温水・水蒸気の確保を行う。 以上の内容を令和4年3月に行われた超異分野学会で発表を行い、製作途中にもかかわらず学会賞をいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、災害時の利用を想定し、以前設計したロケットストーブ―スターリングエンジン発電システムの運搬機能・耐久性等送電システムの安定性の改良とロケットストーブを利用した温水器を作製を試みた。 スターリングエンジンの作動しやすさ・台車の大きさを考え、スタリーング燃焼部と一体化したロケットストーブを作製した。このロケットストーブにスターリングエンジン、バッテリー、冷却機、充電コントローラーを設置した台車の設計を行い、可動式の発電システムの構築を検討した。 スターリングエンジンの内部温度をロガーで観測し、安定した運転の分析を行った。また、スタート時に手動では相当な力が必要なため、自動的に稼働できるスターターを設置した。上記システムは、以前の装置と比べて、短時間かつ安定して700℃の燃焼が可能であった。しかし、実験を繰り返す過程で、スターリングエンジンにブレーキがかかり稼動しなくなった。これら原因は、装置の変形、冷却部音破損等が考えられるが、詳細な原因はわかっておらず、これら原因解析およびスターリングエンジン発電の再構築を行っているため当初の予定より遅れている。 ロケットストーブを利用した温水器システムは、ペール缶2缶で利用した一般的なロケットストーブに、外径8mm、肉厚0.8 mm、長さ7mの銅管をコイル状に巻いた熱交換器を設置して製作した。このロケットストーブは平均320℃程度の燃焼であった。水流速が1.5L/minで平均37℃、1.3L/minで平均50℃、1.3L/min以下の遅い流速で80℃を超え水蒸気が確認できた。しかしコイルの内径に対し、ホースやその接続部が水圧に耐えきれないケースも確認され、改良が必要である。今後、熱コン牡蠣の材質、長さ、太さを検討することで安定した温水・水蒸気の確保を行う。こちらについては順調である。
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今後の研究の推進方策 |
・ロケットストーブ-スターリングエンジン発電の再改良・解析 前述の通り、以前製作したスターリングエンジンは、原因不明の作動しない状態となっている。そこで、このスターリングエンジンを解体し、破損部分の確認やその原因解析を行なっている。同時にスターリングエンジン発電機の再構築を本校工場で行う。ただし、スターリングエンジン及び発電システムは複雑であるため、エンジン・発電に関連した会社に助言をいただきながら行う予定である。これは、スターリングエンジンが教材としても優れており、同時に発電のシステムも学ぶことも目的としたものである。これら構築ができることで、本来の災害時の発電だけでなく、会社の研修・学校の教育的利用等幅広い活用が期待される。現在、会社やその他機関等と打ち合わせしながら本プログラムを進めている。スターリングエンジン発電機が再完成次第、本年と同様解析や活用方法の検討を進めていく。 ロケットストーブを利用した温水器システムは本研究で作製した外径8mm、肉厚0.8 mm、長さ7mの銅管を基準として、銅管の長さの検討・外形の検討・ロケットストーブの内径と同感コイル外径の比率・アルミ素材などの検討を行なう。また、災害時を想定し、シャワーシステムの構築・流水ポンプの検討・蒸留システムの構築も検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
スターリングエンジン発電機のコンデション不良のため、研究が遅れたため、本来使う予定だった予算が次年度に持ち越した。
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