研究課題/領域番号 |
21K04621
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研究機関 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者 |
対馬 弘晃 気象庁気象研究所, 地震津波研究部, 主任研究官 (00589864)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 津波 / 津波波源 / リアルタイム予測 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,長時間かけて発生する巨大地震に伴う津波や,巨大地震が複数の地震にわかれて時間差で発生した際の津波などに着目し,その波源の時間履歴を高密度観測網の津波データからどのくらい抽出しうるのかに迫るとともに,そこで得た知見の津波予測への応用を行うことを目的としている.2021年度の研究実績の概要は以下の通りである. 稠密な沖合観測網内において,巨大津波が長時間かけて発生した場合を想定した津波予測実験を実施した.津波発生が瞬時に完了するという仮定に基づく従来の波源推定手法を適用した結果,観測網の外側に偽波源が生じ,沿岸の津波高の予測精度が低下する場合があることがわかった.これは,稠密な沖合観測網の津波波形データは波源の長時間発生の情報を十分に有しており,従来の波源解析モデルにおける仮定では対応しきれないケースがあることを示すと考えられる.さらに検討を進めるため,津波波源が時間をかけて発生するという仮定に基づいて波源を推定するプログラムの調整を進めた. また,波源推定では,推定された波源解そのものに加えて,その不確かさも重要である.沖合津波観測データから波源がどのくらいの推定精度や解像度で求まっているかを定量評価できるように解析プログラムを改良した.複雑な波源の時間履歴をもつ地震へ適用する前の基礎情報を得るため,津波の瞬時発生が成立するような中規模な地震性津波への適用を実施した.その結果,沖合稠密観測データを用いれば,沿岸津波観測データを用いた場合に比べて,波源の推定誤差および解像度ともに改善しうることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長時間かけて発生する津波の予測実験や,波源推定精度の定量化に関する実験が着実に進捗した.なお,研究実施計画では,時間差発生する津波を2021年度に実施予定であったが,計画立案後に,長時間発生する津波に関する高精度な仮想データを入手できる可能性が生じたため,実施順を入れ替えた.
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は,長時間かけて発生する津波に対する波源推定および津波予測実験を継続するとともに,時間差をもって発生する津波に対する実験も進めていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会等への出張を予定していたが,新型コロナウイルス感染症の影響により,出張を取りやめた.次年度の出張や論文出版に関する経費として使用する計画である.
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