研究課題/領域番号 |
21K04629
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
有田 誠 九州大学, 工学研究院, 助教 (30284540)
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研究分担者 |
宗藤 伸治 九州大学, 工学研究院, 教授 (20380587)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 熱電発電 / 薄膜 |
研究実績の概要 |
本研究では、熱電発電モジュールの体積密度向上の可能性を持つ薄膜積層型垂直熱電発電デバイスを試作しその特性について検討・検証をおこなうことを目的としている。初年度は、研究計画における第1フェーズである、基板上の単層膜堆積によるp/n接合の形成と、熱起電力の評価・解析を行った。 p-Si/単層薄膜n-Si構造における温度勾配に対して垂直方向の熱-電力変換の検証のため、p-Si基板上にn-Si薄膜をRFスパッタリング法を用いて様々な条件下で成膜し、温度勾配付与時の電気特性を調査した。p型Siウェハー(抵抗率:1~5 mΩ・cm)上にRFマグネトロンスパッタリング法を用い、n-Si(抵抗率:1 mΩ・cm)をターゲットとして、n型Si単層薄膜を成膜した。その後、温度勾配付与時の電位分布測定を行った。XRDによる解析からp型Siウェハーを加熱した状態で成膜を行うことで、p型Siウェハー上にn型の半導体特性を示すSi薄膜が成膜さることが確認できた。温度勾配を与えることで、n-Si薄膜が成膜された領域では高温側が相対的に正の電位、低温側が相対的に負の電位となり、温度勾配を与えることで厚さ数μmの薄膜であっても、バルクのn-Siと同様のゼーベック効果を示すことが確認できた。これより、p-Si/単層薄膜n-Si構造における温度勾配に対して垂直方向の熱-電力変換を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、研究計画における第1フェーズ:基板上の単層膜堆積によるp/n接合の形成と、熱起電力の評価・解析を行った。RFマグネトロンスパッタリング法によりSi薄膜の堆積を行い作製した単層薄膜試料について、加熱した状態における試料の発電特性を調査・確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、多層化に向けたアプローチとしてまずp/n-Si二層膜の作製を行い熱電発電特性を調査し、多層膜化モジュールの形成と電位分布解析による最適構造の検討につなげていく予定である。また、KFMを用いた電位分布の観察のための試料加熱ステージの作製を合わせて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は薄膜作製条件の最適化に重点を置いて研究を実施したため、作製される試料の特性に合わせた設計が必要な電位分布測定用の試料ステージのための部品調達をペンディングして初年度を終了したもので、次年度に当該金額を当初予定の部品調達に使用する予定である。
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