研究課題/領域番号 |
21K04639
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
武井 貴弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50324182)
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研究分担者 |
熊田 伸弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90161702)
前田 浩孝 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20431538)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リンケイ酸ネットワーク / メソポーラス多孔体 / 希土類金属 |
研究実績の概要 |
リンケイ酸ネットワークを有するメソポーラス多孔体の合成について引き続き検討した。今年度は、リンケイ酸ネットワークの形成方法として、シリカ源にはテトラエトキシシランを、リン酸源にはオルトリン酸とピロリン酸の二種類を検討した。合成の際のエチルアミン量を変化させたところ、オルトリン酸を用いた場合では最大で12mol%程度、ピロリン酸を用いた場合では最大でおよそ3.6mol%程度のリン酸含有量となり、特にオルトリン酸を用いた場合でリン酸を豊富に含む多孔体の合成に成功した。しかしながら一方で、リン酸含有量が大きくなるほど多孔体構造は崩壊していった。またその際のシリカのネットワーク構造をXPSにより調査したところ、Siの配位環境では、リン酸が多くなるほどQ2やQ3構造が増加しQ4は減少した。このことからも、リンケイ酸ネットワークを有するメソポーラスシリカの合成が確認された。なお、ピロリン酸でリン酸含有量が増加しなかった理由は不明であるが、プロトンの解離度が関係していることが考えられる。 またこれらの試料について、希土類金属の吸着量について検討したところ、特にランタノイドの軽希土類において吸着特性で優位性を示すことが分かった。また、上に凸のテトラド効果が確認された。上に凸であることは、イオン交換により希土類金属イオンが吸着していることを暗に示している。このことから、吸着量を増加させるためには、リン酸に起因するプロトンを増加させる方法が現実的であることが考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リンケイ酸ネットワークを有するメソポーラス多孔体の合成には成功している。また、そのネットワーク形成についても確認しており、基本的には順調に進捗していると考えている。しかしながら一方で、希土類の吸着量については十分であるとは言えないため、吸着量の増加に向けて、リンケイ酸ネットワークの形成だけでなく、リン酸の状態についてもより詳細について検討したいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、以下の項目について検討する予定である。 ①吸着量の向上 ②吸着メカニズムの解明 まず①では異種元素の導入やプロトン濃度の増加方法の検討を行う予定である。またさらに吸着分離の観点から、元素ごとに吸着量の差をつけるためのけんとうもおこなう。次に②では、吸着前後の軟X線XAFSやNMR、あるいは希土類金属元素のXAFSにより、配位状態を検討しながら考察する予定である。特に吸着メカニズムと元素ごとの吸着量の差については、吸着メカニズムが重要であると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス等による一部の実験の実施について順番を変更したため、次年度使用額が生じた。 特に2022年度に行う予定であった水熱法による複合化試料合成について、その一部の実験を次年度に行う予定としている。
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