電気化学成長では、成長条件によって元素の最安定価数が一意に決まるため、成長条件を制御することでCuの価数を比較的容易に制御しうる。この特性を利用してCu2O中のCuの価数を一時的に1価から2価にできれば、過ドーピングに依らないn型伝導を実現できる可能性がある。しかし実際に電解電位を2価が安定な領域にして成長を試みたところ、成長がほとんど進行しなかった。この原因として、強アルカリ領域での別の反応が関与している可能性がある。そこで当初の計画を変更し、まずはより低いpHでの電気化学成長を試みた。その結果、成長温度を最適化することによって、pH7.5においてもCu2O薄膜の電気化学成長を実現した。
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