環境に優しい非鉛系強誘電体であるNa0.5Bi0.5TiO3 (NBT)において、従来から行われてきた固相反応法では1120℃以上の高温での長時間焼成を必要とするために、NaとBiが揮発し、仕込み組成から実際の組成がずれてしまう可能性がある。この場合、NBT中のNaとBiが欠損することにより正しい評価が行われてこなかったことになる。そこで本研究では錯体重合法を用いた低温合成により、無欠損のNBTの合成を行い、X線回折のリートベルト解析によりモルフォトロピック相境界(MPB)の再評価を行った。さらに顕微ラマンを用いた偏光測定による2相共存下における両相のドメインの観察にも挑戦した。
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