本研究課題においては、「無機ナノシートが真に次世代エレクトロニクスを支える基幹物質となりうるか」を命題に掲げ、2次元磁性体がスピントロニクス分野への応用に資する物質群であるかどうかを検討した。2次元磁性体であるFePS3層状結晶の大量合成に関しては、不純物を全く含まないサンプルを得ることはできなかったが、ナノシート化に関しては、電気化学反応を利用することによって、比較的簡便な操作でナノシート分散液が得られることがわかった。以上のように、引き続き詳細に条件検討を進める余地はあるものの、学術的・産業的に重要な知見を得たことは、今後の学際領域研究の発展に対して寄与するところが少なくないと言える。
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