研究課題/領域番号 |
21K04658
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
齋藤 和也 豊田工業大学, 工学部, 教授 (20278394)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 可視ファイバレーザー / フォトダークニング |
研究実績の概要 |
Yb添加シリカファイバレーザーは加工用に広く普及しているが、赤外線領域で吸収が少ない銅を加工することが困難である。このため、ファイバレーザーの発振波長をより短波長化することが求められている。最近、青色LDの高出力化が急激に進み、青色LDを励起源とする可視ファイバレーザーの開発が活発化している。申請者らは、スロープ効率22%、出力110mWを越える可視シリカファイバレーザーの開発に初めて成功したが、実用化には“フォトダークニング(PD)抑制”という非常に困難な課題がある。PDとは、励起レーザーにより欠陥が生成する現象で、生成した欠陥による吸収増加でレーザー発振が阻害される。そこで本研究では、「高出力・可視シリカファイバレーザーの実用化」に必須の基礎的研究として、「可視シリカファイバレーザーの高出力化を阻害するPDの機構解明」を目的とした研究に取り組んでいる。 2021年度は、Dy-Al-およびDy-P-添加シリカガラスにおけるX線誘起PDと青色励起LD誘起PDについて生成欠陥種を明らかにし、その欠陥生成機構を提案した。P添加によるX線誘起PD抑制効果が非常に大きくDyファイバレーザーでのPD抑制が期待されたが、450nm LD誘起PDではその効果が得られなかった。この原因については現段階では未解明である。さらに、Ge添加効果によるX線誘起PDにおける抑制効果を調べ、その機構を提案した。しかし、450nmLD誘起PDの場合には、Ge濃度がある一定濃度を越すとX線誘起PDと同様の抑制効果が得られなくなるという結果が得られた。X線誘起PDと450nmLD誘起PDに対するGe添加効果の違いを明らかにすることが、Dy添加シリカファイバーレーザーのPD抑制法の開発に向けて重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2021年度に計画していたA/P共添加効果について研究が順調に進み、論文発表まで行うことができた。さらに、2022年度に実施計画をしていたGe添加効果についても取り掛かることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究で、Ge共添加によりX線誘起PDが抑制される機構を明らかにした。しかし、450nmLD誘起PDの場合には、Ge濃度がある一定濃度を越すとX線誘起PDと同様の抑制効果が得られなくなるという想定外の結果が得られた。この違いを明らかにすることが、Dy添加シリカファイバーレーザーのPD抑制法の開発に向けて重要である。2022年度は、励起プロセスの違いによる欠陥生成機構と、Ge添加効果の違いについて解明を進める。それらの結果、有効なフォトダークニング抑制法を検討する。
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