研究実績の概要 |
研究期間において、「Cu-DLC創製プロセスの開発と抗ウイルスおよび抗菌性検証」の項目について、研究計画としていた「Mist法におけるCu-DLCの最適創製手法の開発および抗菌性評価」の実験を実施し、作製条件の収集および試料解析を行った。作製条件の調整により、Ti 基板上にCu濃度20wt%から90wt%のDLCを創製することができた。抗菌性評価は感染症誘起の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を用いたJIS Z 2801によるフィルム密着法で実施した。また、各試料についてRaman分光装置による膜表面構造分析および試料最表面の元素比率をX線光電子分光装置 (XPS) を用いて調査した。 Cu-DLCにおいての黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に対する抗菌性は検出限界値レベル (10 [CFU] 未満)で最適な試料では、検出限界値以下となり、抗菌活性値(Antibacterial value R)は4.6の数値を示した。これは、対象試料における活性値の10,000分の1となり、極めて優秀な抗菌特性を持つことが認められた。十分な抗菌活性値を示した。これらの結果から、Cu-DLC内のCu濃度、Cu構造の測定結果と抗菌性の関係性について検討した。さらに、Cu-DLC耐久性については、最適なCu含有量があることが判明した。得られた成果については、国際学術雑誌(Diamond and related materials, Biomaterials等)への投稿および国内学会(応用物理学会、ダイヤモンドシンポジウム、ライフサポート学会等)での公表を行った(研究発表参照)。
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