研究実績の概要 |
昨年度はTiCを硬質粒子に用いたTiC-25wt%(Fe(100-x), Nix)サーメットを作製し、その強度と延性を評価した。その結果、結合相であるFeNi合金がfcc構造からbcc構造へ応力誘起相変態を生じることで、強度、延性が共に向上することを明らかにした。そこで、今年度はサーメットとしてより高強度が期待できるTi(C, N)粒子を用いて、その機械的特性を評価した。 具体的にはTi(C100-x), Nx)-25wt%(Fe(100-y), Niy)), x = 0~20, y = 50, 60となるように市販のTiC, TiN, FeおよびNi粉末をエタノール中で湿式混合した。これらを大気中で乾燥後、プレス成形し、真空焼結する事で試料を作製した。これら試料の破壊までの応力-歪曲線を4点曲げ試験により取得した。その際の歪みは、試料下面に添付した歪みゲージにより測定した。 作製した試料の破壊強度と破壊歪みは、硬質粒子の窒素量が増えることで、共に低下することがわかった。特に延性低下は窒素無添加の場合に比べて著しく、半分程度にまで低下した。またy = 50とした方が60としたサーメットに比べて、強度、延性ともに優れることがわかった。これら試料のXRD結果およびSEM観察より、作製した試料はいずれもTi(C, N)相とFeNi合金相から形成されており、脆化相などは確認できず、TiC粒子を用いた場合と比べても両者に顕著な違いは見られなかった。これらを受けて今後は、変形中のFeNiの相変態挙動や、Ti(C, N)とFeNi合金界面強度などを調査する必要がある。
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