研究課題/領域番号 |
21K04676
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
星 芳直 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20632574)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | マグネシウム / 電気化学測定システム / チャンネルフローセル / アノード溶解 / 酸化物皮膜 / pH / 水素発生 |
研究実績の概要 |
本研究では、マグネシウムの溶解にともなう酸化物皮膜生成・成長・破壊の動的過程をリアルタイムに追跡できる電気化学計測法を開発し、マグネシウム表面の溶解形態変化とその過程において観察される水素発生の支配因子解明に基づくマグネシウム電池の高出力化指針を確立することを目的とする。 本年度は、マグネシウム溶解にともなうpH変化を考慮した酸化物皮膜生成・成長・破壊の動的過程リアルタイム追跡を目的とし、チェンネルフロー電極を用いた電気化学測定システムの開発を実施した。チェンネルフローセルは透明な2枚のアクリル板を用いて作製し、マグネシウム電極を埋め込んだアクリルブロックとチャンネルを有するアクリルブロックにより構成されている。層流条件を満たした電解液がチャンネル内を流れるため、マグネシウムの溶解にともなう電極近傍のpH変化を考慮した電気化学測定が実施可能である。この測定では、チャンネル内において対極は作用極に対して下流に設置しているため、対極における電気化学反応に起因したpH変化はマグネシウム溶解に影響がない。チャンネルフローセルは透明なアクリル板により作製されているため、三電極系により実施される電気化学測定において、アノード溶解中におけるマグネシウム表面変化を透明なアクリル板を介してデジタルマイクロスコープにより動画撮影が可能である。この電気化学測定システムを用いて、マグネシウムの自然電位およびアノード分極曲線の測定を実施し、電解液濃度とマグネシウム溶解にともなう皮膜生成・成長・破壊のプロセスを解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の目的としていたマグネシウム溶解にともなうpH変化を考慮した酸化物皮膜生成・成長・破壊の動的過程リアルタイム追跡を可能とする電気化学測定システムを開発することができた。この電気化学測定システムにより電解液濃度とマグネシウム溶解の相関解析に着手できた。そのため,総合的におおむね予定していた研究について計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
開発した電気化学測定システムを用いたマグネシウム表面の溶解・皮膜形成・pH変化・水素ガス発生を考慮した電気化学反応プロセスの解明に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
開発した測定手法を用いた実験において計画した実験を一部実施しなかったため、計画した実験の消耗品の使用が発生しなかった。 今年度は、前年度実施予定であった実験に要する消耗品および資料収集・成果発表の旅費としての使用を予定している.
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