研究課題
特殊構造をもつ高分子は、物性や集合構造に特徴があるため、次世代の材料として注目を集めている。本研究では、これまでに報告例のほとんど無かったポリフェニルアセチレン類の重合の精密制御を行ない、特殊構造高分子の合成を目指している。我々が開発したポリアセチレン類のリビング重合は簡便かつ安定な原料を混ぜるだけで重合し、ほぼすべての官能基を両末端に導入する事ができるため、上記の特殊構造をもつ材料の合成に非常に有利である。最終年度に実施した研究は、この新しいリビング重合方法を駆使してらせん高分子からなるポリマーブラシ基板の合成と、それを用いる不斉認識および光学分割カラムの固定相などのキラルマテリアルの開発を行った。具体的には、左巻きらせんポリマーブラシ基板の合成を行った。シリコン基板に開始剤としてフェニルボロン酸誘導体を反応させ、そこから均一な重合を行い、最大800nmの厚みのポリマーブラシ基板を合成した。また、このらせん高分子が溶媒や温度変化によって、側鎖間の水素結合をオンオフをくり返し、まるでバネが伸び縮みするような変化を示す事を見出した。興味深い事に、らせんの巻き方向によりキラルなカルボン酸と相互作用させた際に、エナンチオマーの違いを認識することも見出した。この主鎖の伸び縮みを利用した厚みの変化、および光学活性体の認識を利用した色変化について、詳細に検討した。これらの材料を用いて、新しいキラルマテリアルの開発が加速すると期待される。
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