PKCパーコレーション複合システムにおけるPVDF 脱フッ化水素反応のメカニズムを解明した後、システムの材料性能の最大化の為に、水とKHCO3の添加の影響に関する実験調査を実施し、最適化合成プロセスが出来ました。2023年度には、遷移金属イオンの酸化物および水酸化物の添加と、異なる熱処理温度でKOH溶液を用いた電極の成長後処理の効果を調査しました。その後、PKC 電極を組み立ててコンデンサを作成しました。ラマン散乱、X 線回折、X 線光電子分光法、電気化学インピーダンス分光法、サイクリックボルタンメトリーなど、さまざまな種類の技術を用いて、それらの化学組成、微細構造およびシステムの性能を明らかにしました。最適化された製造プロセスを使用したPKC システム (PKC+5%KHCO3 および 5%水) における遷移金属イオン (Co および Ni) の酸化物/水酸化物/炭酸塩の添加の影響を調査し、そのメカニズムも解明しました。一定量のCo および Ni の酸化物および水酸化物を含有した場合は、これらの相の絶縁特性により導電率が低下することがありますが、ファラデー酸化還元反応の発生により電気化学的性能をさらに高めることができます。KOHを添加すると、PVDF の脱フッ化水素反応が促進され、より多くの C=C 結合が生成されることが判明しましたが、架橋ではなくポリマー鎖上で脱フッ化水素が発生するので、材料特性を実際に大きく改善できませんでした。 研究成果として、1つの論文が国際ジャーナルに掲載され、1つが国際ジャーナルに投稿され、もう1つの原稿が準備中です。研究成果も国内、国際会議で発表されました。
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