研究課題
基盤研究(C)
水素による損傷検出のメカニズム(水素と損傷との相互作用)を明らかにするために,8Cr鋼の疲労損傷材およびクリープ損傷材の損傷蓄積に伴う水素放出特性の変化を詳細に調査した.その結果,疲労損傷と密接に関係していると思われる空孔および空孔クラスターに起因している水素を分離することに成功した.同様に,クリープ損傷に起因すると思われる水素を分離することができ,その放出量に基づいたクリープ余寿命評価の可能性が示された.
環境j強度学
得られた結果により,疲労損傷およびクリープ損傷と水素の相互作用がより一層明確になった.水素をトレーサーに用いた本手法を材料診断技術として確立することができれば,経済的損失や環境汚染だけでなく人命にも係わる大型機器・構造物の破壊事故の未然防止に貢献するだけではなく,過度の猶予を残した状態でのリプレースや廃却を減らすことが可能となる.さらには,我が国における産業技術基盤の独創的な充実を促す波及効果を生み,産業界において広い応用展開が期待される材料評価の基盤技術に繋がるものと期待される.