本研究の目的は次の二つである: (1) Ni-20%Cr合金の水素脆化粒界破壊の素過程を解明すること;(2)ミクロ組織制御によって耐水素脆性に優れたNi-20%Cr合金を創出すること。FCC金属の水素誘起粒界破壊が不連続かつ離散的に起こるという事実は従来認識を超えるものであり、本研究の成果は金属材料の水素脆性機構の理解に新たな視点を与えるものである。また、本研究で提案実施したミクロ組織制御法は油井管部材にとって実現可能なプロセスであることに加え、部材をさらに高強度化できるため、高深度高腐食井における喫緊課題である高耐食性と高強度を両立させた油井管部材の創製に貢献することができる。
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