研究課題/領域番号 |
21K04703
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
佐藤 宏司 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (70344166)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 圧電材料 / 分極 / 疲労 / 余寿命判断 |
研究実績の概要 |
本研究では強誘電性材料の電気的な疲労特性を利用することにより、構造体に生じた機械振動や歪みの履歴を残留分極の減少として記録する新しいヘルスモニタリングシステムの研究開発を目標にしている。 従来の歪み検出センサとその計測システムとは異なり、システムの構成は歪みを電気エネルギーに変換するための駆動用圧電デバイスと発生した電気エネルギーにより分極反転を繰り返す強誘電性薄膜の組み合わせただけの簡単な構造であり、外部からのエネルギー供給無しにセンサユニットに履歴を記録させることが可能である。 この分極疲労の劣化現象は強誘電体薄膜の材料や厚み、大きさ、温度や加える電圧により変化するため、本年度は、昨年度作製した分極疲労特性の評価を自動測定するシステムを用いて、300℃近辺(キューリー点前後)での分極の影響、温度が上昇した場合、温度が下降した場合等、様々な条件での分極測定を行った。 一般的な圧電材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)において、キューリー点近辺まで分極温度を上げることにより、本来分極処理に必要であった2kV/mmの分極電圧を従来の1/10の200V/mm以下まで下げることに成功した。また150℃近辺までの温度を上げるだけでも従来の1/4程度の500V/mmで十分な分極処理をお香なうことに成功した。今後はこの分極処理の影響と分極反転疲労への影響を評価し、分極疲労現象に温度、時間、電圧がどのように影響するのかを調べていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ、およびロシアによるウクライナ進行の影響による半導体不足の影響により、十分な活動を行うことが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き様々な条件、サンプルを用いて分極疲労特性の評価を行い、本デバイスが有効であることを示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナやロシアのウクライナ進行による半導体関連部材の入荷の遅れの影響により、研究の進め方を変更したことによる。
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