L10構造のFeNi合金は、高磁気異方性を有し、希少金属レスで耐熱性に優れるため、モーター用磁石としての実使用温度域において、Nd-Fe-B磁石に匹敵する次世代の高性能磁石として期待されている。しかし、320℃以下でのみ安定に存在する物質であり、拡散速度が極めて遅く、通常の手法では極めて合成が困難であった。本研究は、汎用的な合成手法により前駆体を合成し、我々が有する金属水素化物を利用した低温還元技術を用いることによって、困難であったL10-FeNi合成の実現を目指すチャレンジングな研究である。適切な合成手法と元素添加によってL10規則化を促す可能性を示すことができた点で意義があると考える。
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