研究課題/領域番号 |
21K04706
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研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
酒井 大輔 北見工業大学, 工学部, 准教授 (10534232)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ガラス / ホログラム / 構造転写 |
研究実績の概要 |
本研究では、身近な透明材料であるソーダライムガラスへ「光による情報表示」機能を付与するための研究を行っている。ガラスはプラスチックなどと比較し、安価で安定した透明材料だが、逆に微細加工が難しく、微細な構造を形成するには多くのコストが必要だった。本研究では、これまでに独自開発してきたガラスへの微細構造転写技術である「電圧プリント法」を応用し、ガラスへ光を屈折や回折により情報表示することができる微細な周期構造を転写形成することを目的とした研究を行っている。4年間での実現に向け、 「ガラス内の回折構造形成」 「ガラス表面への凹凸構造形成」 「光の伝搬・回折の計算と評価」 の3点に着目した研究実施を計画している。 初年度となる2021年度は電圧プリント装置の改良を行い、ガラス内への回折構造形成効率の向上を行った。複数の電極を特注し、構造転写の特性を実験する中で、電極の設置による誤差が見られた。そのため、電極固定治具を自作するため、3Dプリンターを導入した。電圧プリントを用いたガラスへの転写実験による結果を報告した学会では、奨励賞を受賞することができた。また、当初の計画とは異なる点として、本研究テーマについて、科学研究費助成事業「基盤研究(C)」及び「若手研究」における独立基盤形成支援(試行)に申請した結果、採択いただくことができた。初年度に利用できる予算が増額となったため、当初2年目以降に計画していた空間光変調器の導入を前倒しして進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、電圧プリント装置の改良を行いながら電圧印加実験を行い、ガラスへの転写効率の良い実験条件を検討した。更に、実績の概要にて述べたように、2年目以降に予定していた空間光変調器導入を前倒しすることができた。これに伴い、当初予定していた光学シミュレーションを2年目以降に実施することとした。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる2022年度の研究では、これまでに電圧プリント法によりガラス内へ記録してきた回折構造を基に、ガラス表面を凹凸構造化するため、選択堆積法及び湿式エッチングを用いた実験を行う。ガラス上に形成された構造は、原子間力顕微鏡を用いて表面計測を行うほか、レーザーを用いて回折効率としても評価する。 また、1年目に導入した空間光変調器も使用していく。機器の使用方法を学んだうえで、光学系を整備し、ガラスへの実験に組み合わせていく。 初年度に実施を見送った回折構造の光学シミュレーションとしては、厳密結合波解析を用いた回折構造の計算を計画しており、必要に応じて時間領域差分法の利用も検討する。 3年目以降の研究では、2年目までに別々に実験してきた結果を基に、ガラス内と表面の回折構造を組み合わせ、光情報を表示するための研究へと推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
科学研究費助成事業「基盤研究(C)」及び「若手研究」における独立基盤形成支援(試行)に採択いただくことができ、初年度使用可能額が増額したため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、光学特性計測に用いる光学系や消耗品などへの使用を計画している。
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