本研究では酸化物半導体材料の新しい表面微細構造形成プロセス技術として、酸化物半導体材料の表界面領域の物理的・化学的特性付与によって発現した機能によりデバイス特性を大きく向上させた革新的な半導体デバイス創製にブレークスルーをもたらす技術開発を念頭に、プラズマの高密度・高活性な反応場の能動制御と気相・液相界面反応の精密制御より、デバイス応用に最適な結晶構造・組成を有し、なおかつ比表面積が極大になる薄膜構造を有する高品質酸化亜鉛薄膜形成を実現に向けて、1)マイクロプラズマ支援による単一微小液滴をテンプレートとした比表面積の増大にむけた酸化亜鉛中空微粒子形成の実現と、2)酸化亜鉛中空微粒子を用いた3次元ナノ構造酸化亜鉛薄膜形成技術の開発とその構造制御技術の確立を目的に、以下の研究を行った。 プラズマ中の液滴の振る舞いを調べるために、プラズマ中のラジカル・イオン・電子、熱流束と液滴との反応による、液滴の蒸発の状態を調べた。その結果と、実際に液滴をプラズマに通過させた際の、基板に到達した表面構造から、プラズマ中での液滴から酸化亜鉛微粒子形成に関する液滴に対するプラズマの影響を調査・考察した。液滴の蒸発と液滴から供給される蒸気に起因したプラズマ中で生成される活性種によって、微粒子の形成および微粒子の材料としての品質に影響を与えていること、またプラズマ初期の液滴サイズに微粒子形状が影響を与えることを示唆する結果を得た。これらの結果は、微粒子の構造を、液滴サイズやプラズマ生成条件によって任意に制御可能なことを示しており、本研究で開発した微粒子技術による適切な微粒子構造の形成によって、光学的な応用や、形状に起因して性能向上が可能なガスセンサなどの新たな電子デバイス作成に期待できる。微細構造形成技術開発に向けて、二次元位置制御ステージを導入し、3次元ナノ構造酸化亜鉛薄膜形成を試みた。
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