本研究は、クーラントの熱伝達率がクーラントの種類や微小気泡の状態による変化を明らかにし、クーラントの熱伝達率すなわち冷却能力を向上させることを目的としている。また、本研究では、得られた知見より工具刃先冷却を促進させる方法を提案し、高速切削加工で問題となる高温になる工具刃先の冷却に貢献する。本年度は、微小気泡添加クーラントの熱伝達測定と微小気泡添加クーラントの切削性能の評価を実施検討した。 1.微小気泡添加クーラントの熱伝達測定:熱伝達測定装置の測定結果を解析し熱流束を算出する方法が不確定であったため、熱伝達測定装置に熱流束計を取付け直接測定する方法に変更した。これにより熱流束の測定が可能になった。これによりクーラントに微小気泡を添加したときの高温での熱伝達特性を測定することができた。また、同じ流量で噴射ノズル直径を変えたときの熱流束測定実験を行い、ノズル形状が微小気泡添加クーラントの冷却性能に与える影響を検討した。 2.微小気泡添加クーラントの切削性能の評価:昨年度、確立したタッピングトルク試験方法により微小気泡添加クーラントの切削性能を評価した。クーラントを供給しながら雌ネジをタップ工具で加工し、その時に発生する加工トルクを測定比較した。エマルションタイプの切削油剤に対して適用すると添加しないものと比較して加工トルクが上昇し性能が低下することがわかった。この結果は微小気泡に洗浄効果が発揮されたため油剤の効果が低減したと考えている。また、切削加工に微小気泡添加クーラントの効果的な活用方法も検討した。 3.全体成果:本研究では、微小気泡を添加したクーラントの伝達特性切削特性を検討し、微小気泡をクーラントに添加した時の切削加工に及ぼす効果の検証ができた。
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