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最終年度では，前年度中に開発した鍛造加工中の潤滑状態のリアルタイム測定のための手法および必要な治具を用いて，本手法の確立を目指し，チタン合金の押出し加工時における潤滑状態を評価するため，押出し型鍛造を模擬した摩擦試験にボルト型ピエゾセンサーを実装し，摩擦係数とセンサーの出力波形を比較して，チタン合金鍛造におけるトライボ特性の評価を行った．実験中のセンサー出力が急激に増加する時刻が，摩擦状態により変化することを見いだした．具体的には，摩擦が大きい場合，センサー出力の急激な増加の時刻がより早期となる．有限要素解析により，その現象は，摩擦状態が材料変形に影響を及ぼすことによることであることを明らかにした．実験から，センサー出力の急激な増加の時刻と摩擦係数の大きさの高い相関が得られた．同時に，測定のばらつきの問題が明らかになった．前年度に開発した測定用工具の寸法や強度，取付け方法のばらつきによるものと推定された．
研究期間の1年目には，冷間押出し時における摩擦係数の加工速度依存性の評価も実施し，高精度な有限要素解析を援用することで，従来困難とされてきた加工速度と摩擦係数の関係を明確にした．実験には合金鋼およびアルミニウム合金を用いた．両金属ともに，加工速度の大きな場合の摩擦係数は，加工速度の小さい場合に比べて小さくなった．この傾向は，より高強度な合金鋼でより顕著であった．この理由を，高精度な有限要素解析により，加工時の温度上昇と材料の変形能，特に加工硬化特性の温度およびひずみ速度依存性にあることを明確にした．
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