研究実績の概要 |
令和3年度はTi-(15,18,20)mass%Nb合金およびTi-18Nb-(1,4,7)Al合金に対して、溶体化焼入れ温度による金属組織評価と減衰能の相関を検討するとともに、電気抵抗の温度変化に対する測定を行う装置を構成して測定することに主眼を置いた。 溶体化焼入れ温度については、従来は十分なβ単相域である950℃からの溶体化焼入れでマルテンサイト組織を形成し、その結晶学的特徴と減衰能の関係について明らかにしてきた。今回は溶体化温度を下げて850℃で行い、その影響を検討した。減衰能の観点においては、Ti-15Nb合金がそれほど高くならず、Ti-18Nb合金およびTi-20Nb合金では溶体化処理温度の違いでそれほど大きな差は生じなかった。また、結晶学的特徴についても差は大きくなかったが、β相の存在割合については差があった。定量化は現時点で困難なため、さらなる検討の余地は残っている。 電気抵抗変化については、100℃までの初期加熱でTi-18Nb合金の高い減衰能が低下してしまうという安定性についての課題があり、電気抵抗の変化から状態変化を検討するという目的でアプローチした。本研究経費で装置を構成して200℃までの電気抵抗変化を測定したところ、Ti-18Nb-(0,1,4,7)Al合金において、Al量の違いによる傾向は現れた。しかしながら、測定自体の安定性と、どのような組織的変化により生じているかについては追加の検証が必要である。 これらの結果をもとに、次年度は加工・熱処理条件による減衰能の向上と安定性の維持、機械的性質とのバランスについて系統的に調べていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ti-(15,18,20)mass%Nb合金およびTi-18Nb-(1,4,7)Al合金に対して、溶体化処理温度の影響や200℃までの電気抵抗変化を測定し、検討するための基礎的なデータ取得はできた。測定の安定性と精度の向上と、目標達成のカギとなるTi-Nb-Al合金への展開が課題であるため、上記の区分とした。
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