研究課題/領域番号 |
21K04732
|
研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
大越 昌幸 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (70283497)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 超撥水性 / シリコーンゴム / ArFエキシマレーザー / 空気層 / 環境発電 |
研究実績の概要 |
本研究では、超撥水性を呈する固体表面に、異種の微小金属を形成し、それを水中に浸漬させることにより、超撥水性表面には均一な空気層が形成して、空気層と水の両方に跨る空気層側の異種金属間で微弱な発電を実現し、導電性を有する液体に係わる環境下でのエネルギー自律型ウェアラブルデバイス作製に資することを目的としている。 2021年度は、水中で超撥水性シリコーンゴム表面に形成する空気層の領域および均一性を高めるために、レーザー照射条件(単一パルスのフルエンス、パルス繰り返し周波数、照射パルス数)ならびに微小球除去のための化学エッチング条件の最適化を行い、広領域化したときの周期的微細隆起構造の形状および高さの均一性を図った。また、周期的微細隆起構造の形状を、これまでの円錐台状構造に加えて、各々の先端部に新たにシリコーンから成るマイクロカップ構造を均一に形成できる手法を見出した。その結果、水との接触角が再現性良く160度以上を示すようになり、高い超撥水性を発現させることができた。このような高い超撥水性は、均一な空気層形成に有効である。また、形成したマイクロカップ構造は、微量なイオン液体をトラップできることも示した。したがって、水中に浸漬した試料表面上の空気層内で発電ができると、同一空気層内にトラップした電解質に蓄電できる可能性を得た。 また、異種の微小金属としてAu薄膜との組み合わせも検討した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は予定通り、水中で超撥水性シリコーンゴム表面に形成する空気層の領域および均一性を高めるために、レーザー照射条件の最適化を行うことができた。また、異種の微小金属としてAu薄膜との組み合わせも検討した。さらに、周期的微細隆起構造の形状を、これまでの円錐台状構造に加えて、各々の先端部にシリコーンから成るマイクロカップ構造を均一に形成できる新たな手法を見出し、空気層内で発電と蓄電の両機能を実現できる可能性を得たため。
|
今後の研究の推進方策 |
異種の金属膜が形成された超撥水性シリコーンゴムチップを、濃度3 wt%のNaCl水溶液に浸漬し、発生する起電力を測定する。その際、異種の微小金属の組み合わせも継続的に検討し、起電力が最大となる実験条件を見出す。また、空気層内での発電とともに、蓄電機能を実現させるための最適なマイクロカップ構造の形状を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
備品費で真空蒸着装置の購入を予定してきたが、研究の進捗と展開に合わせて、2022年度に小型スパッタ装置を購入することにした。また2021年度は、国際会議および国内学会がオンラインでの開催になったことにより旅費の支出が大幅に減ったが、2022年度は予定通り開催場所での研究成果発表を行う。
|