研究課題/領域番号 |
21K04744
|
研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
藤井 翔 木更津工業高等専門学校, 基礎学系, 准教授 (90725425)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | レーザー誘起微小気泡 / 自己集積 / マランゴニ対流 / 移流集積 |
研究実績の概要 |
本研究では,光熱による微小気泡が形成する固体・液体・気体が交わる三相界面近傍における形状異方性ナノ材料の配向集積メカニズムの解明を目的とする.非平衡定常状態における三相界面近傍の『溶液の流れ』,『界面効果』,『熱運動』と分子や形状異方性ナノ材料の『大きさ』や『アスペクト比』,『柔らかさ』に着目し,非平衡界面におけるナノ材料集積現象の理解と制御を志向した学理の構築に取り組んでいる. 初年度は,本研究におけるひと通りの実験系および評価系を構築する事を目的に取り組んだ.形状異方性材料として光学顕微鏡で観察しやすい大きさのポリスチレンビーズを加工し,楕円形のビーズ(短軸長さ 0.2 ~2 μm,長軸長さ 1~8 μm)を用いた.楕円形ビーズは気泡の中心方向に向かって放射状に集まる事が光学顕微鏡下で観察できた.ただし,長軸が短いビーズは放射状に集合した後,三相界面に沿うように集積する傾向が見られた.このことから,試料のサイズによって集合集積現象に違いがみられることが確認できた.電子顕微鏡による観察を行い,取得した画像を画像解析ソフトであるImageJを用いて配向度の解析を試みた.既存のプログラムを駆使することで解析が実施できることを確認した.気泡まわりの流れをモデル化するために,気泡まわりの流速を計測した.解析解を得て,実験値との比較から,気泡まわりにおける流れのモデルについて妥当性を確認した.各種の形状異方性ナノ材料の合成に着手し,集積現象の系統的な理解に向けて試料の準備を行っている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究開始時において所属研究機関の変更があり,実験環境の構築にやや遅れが生じていたが,実験機器等に不足はなく研究に着手できている.微小気泡による楕円形ポリスチレンビーズ集積後の集合体について電子顕微鏡による観察が達成できており,配向度合いの画像解析や気泡まわりの流れのモデル化も行うことができた.形状異方性ナノ材料の合成にも着手している.以上のことからおおむね順調に進展していると判断した.
|
今後の研究の推進方策 |
アスペクト比を変えた無機系の硬い形状異方性ナノ材料を各種合成するとともに,それらの集積現象について電子顕微鏡を用いて観察,解析を行う.硬い材料についての実験結果を整理した後,柔らかい形状異方性ナノ材料を調整または購入し,硬い材料と比較しながら現象の理解をすすめる予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
購入物品の納期遅れや部品の欠損により,次年度の執行となった.また,感染症禍のため学会参加に係る旅費分が繰り越しとなった.繰り越し分は効率的な実験遂行のために装置の自動化に向けて使用する予定である.
|