研究課題/領域番号 |
21K04747
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辰巳 怜 東京大学, 環境安全研究センター, 特任助教 (00749202)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | コロイド / レオロジー / 粘弾性 / 数値シミュレーション / 凝集構造 / 剪断応力 / 粘度 |
研究実績の概要 |
濃厚コロイド系の塗布・乾燥により,二次電池電極や積層セラミックスコンデンサなどの機能材料が作製されている.材料性能はコロイドが形成する粒子系構造に左右されるため,その制御が課題である.塗布・乾燥では,調製時のコロイドの分散・凝集状態に剪断流動が作用して非平衡構造を生じる.その把握のためにレオロジー特性が測定されるが,構造を直接観察できない上に理論も未整備ゆえ,測定結果からの構造の解釈は推測の域を出ないのが実状である.本研究では,濃厚コロイド系のレオロジー特性を評価可能な数値シミュレーションモデルを開発するとともに,実測データと比較しながら,粒子系構造とレオロジー特性の関係を明らかにする.2021年度に得られた結果をまとめると以下の通りである: (1)濃厚コロイド系のレオロジー特性を評価可能な数値シミュレーションモデルを開発した.この数値シミュレーションでは,レオロジー測定で想定される単純剪断流れ場(定常・振動)での粒子・流体運動を周期境界条件の下で計算し,発生する応力から粘度や動的弾性率を評価する. (2)(1)を用いて,粒子間相互作用(粒子の分散・凝集状態)による粘弾性挙動の差異を見出した.また,粘弾性挙動の角周波数依存性が,粒子間力から定まる時定数で整理できることを見出した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
濃厚コロイド系のレオロジー特性を評価可能な数値シミュレーションモデルを開発し,粒子間相互作用によるレオロジー特性の差異が捉えられることまでは確認できた.測定用のレオメータも用意でき,2022年度から研究を推進していく準備を整えられたと考えている.
|
今後の研究の推進方策 |
開発した数値シミュレーションモデルを用いて,レオロジー特性への粒子間相互作用や粒子濃度の影響を網羅的に調べていく.分散・凝集状態の制御が容易なサンプルについてレオロジー測定結果との比較も行いながら,レオロジー特性の背後にある粒子系構造を明らかにしていく.
|