研究課題
測定装置の健全性の確認と、超臨界二酸化炭素中および有機溶媒中における金属錯体の拡散係数データの蓄積のため、前年度までCr(acac)3、Pt(acac)2の相互拡散係数を測定してきた。これまで超臨界条件は臨界点近傍を除き、種々の物性は一律の挙動を示すと考えられていたが、gas-likeとliquid-likeの各領域で拡散係数の挙動が異なることを示した。本年度は、Zr(acac)4の相互拡散係数を超臨界二酸化炭素中ではchromatographic impulse response(CIR)法により、有機溶媒中ではTaylor法を用いて測定した。これまで、本研究グループは配位子数1~3までの各種acac(acetylacetonate)金属錯体の拡散係数を測定してきたが、配位子数4についての測定データの報告がなく、拡散係数に及ぼす配位子数の影響を調べるため、Zr(acac)4について測定した。また、混合溶媒については、二酸化炭素+デカンの全組成領域(有機溶媒のモル分率0~1)での高圧混合流体中におけるvitamin K3の拡散係数をTaylor法により測定した。また、拡散係数の推算式の開発には混合溶媒の粘度の値が必要であるが、混合溶媒の粘度データが少なお。特に、CO2+無極性の直鎖炭化水素類については、測定値がある程度報告されているが、アルコールなどの極性溶媒とCO2との混合溶媒の組成全域のデータがほとんどないため、CO2+ethanolの粘度を充填層の入口と出口の圧力損失からErgunの式を用いて決定した。圧力損失から粘度を測定する方法では層流流れでの測定が一般的であるが、層流域では圧力損失の値が小さく測定可能な領域が狭い。そこで本研究では充填層の圧力損失式のErugun式を用い、式中に含まれる2定数を温度、圧力の一次関数として表して粘度を決定した。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件)
Journal of Molecular Liquids
巻: 397 ページ: 124149
10.1016/j.molliq.2024.124149
Journal of Supercritical Fluids
巻: 209 ページ: 106237
10.1016/j.supflu.2024.106237
The Journal of Supercritical Fluids
巻: 195 ページ: 105860~105860
10.1016/j.supflu.2023.105860