研究課題
溶銑予備処理工程におけるガス・インジェクション法では,不活性ガスと共に脱硫剤などの粒子群が吹き込まれる.そのような粒子は浴内での均一な分散が望まれるが,溶銑との濡れが悪いことから,溶銑内に侵入するとき背後に不活性ガスを纏ってしまい,浴内での分散が阻害される.他方,一般に微小気泡が生成・崩壊するとき,化学反応は非常に促進されることが知られている.このように,溶銑内で粒子群が纏う気泡は粒子の浴内での分散と化学反応に密接に関係するものの,溶銑は高温かつ不透明であるため浴内での粒子群の分散挙動を直接観察して評価することは困難である.本研究では,反応容器内部で起こる過渡的な気液界面現象を直接視認すること無しに浴外から音響学的に診断する方策について検討する.本研究で対象とする過渡的な気液界面現象を数値計算するためには,気液界面の変形挙動を精度良く追跡することのできるアルゴリズムが要求される.そこで,本研究では渦粒子法にペナルティ法の概念を適用した計算手法について検討した.申請者らによる昨年度までの研究結果から,ペナルティ項の積分から抗力係数を求める(アプローチ1)と,解析解の半分の値になってしまうことが分かっている.そのとき,物体表面上における圧力の接線方向勾配によって,物体表面上での渦度の法線方向の微分が不連続になるとなることが明らかとなっている.本年度は,物体の外側と内側の間に圧力のジャンプがあると仮定して,流体力学的な力を計算するための代替式(アプローチ2)を解析的に導き出した.それにより,アプローチ1での差異は物体表面上での圧力のジャンプが原因であることを明らかにした.
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Journal of Fluid Mechanics
巻: 988 ページ: -
10.1017/jfm.2024.420