本研究は、レドックスキャパシタ用電極への利用に向けて、モノリス状多孔質炭素を担体とした金属酸化物とのナノ複合材料を簡便な設備・手順で製造する技術の開発を目的としている。この目的に向けて細孔構造を任意に制御した多孔質炭素のモノリス体の開発、および金属(酸化物)のモノリス体内部へナノレベルで均一な担持を可能とするプロセスの開発が必要である。令和3年度および4年度の検討により、レドックス物質である鉄を充分量担持するために独自のCVD法をもとに、鉄担持の前駆体であるフェロセンを高濃度の蒸気として細孔内に導入することが可能なCVDプロセスを開発した。さらに、炭素源樹脂のゾルゲル反応を制御することで数nmのメソ孔領域から数μmのマクロ孔領域までの広い範囲の細孔構造を有する炭素材料のモノリス体を作製することが可能となった。しかし、電解液やガスが流動しやすいμmオーダーの細孔をもつ多孔質炭素モノリスは通常の合成条件では空隙率が高すぎるため、非常に嵩高い電極となってしまう問題があった。 そこで、令和5年度は、細孔径の制御手法とは独立したモノリス体の多孔度を制御する技術の開発に取り組んだ。これまでに開発したマクロ孔を持つ炭素源樹脂は、ゾルゲル反応中にμmサイズの微粒子が形成したのちに連結して、モノリス化した構造であることに着目し、微粒子が形成した直後に反応液を濃縮することで、前駆体樹脂モノリスの高密度化することに成功した。この樹脂モノリスは形状を維持したまま炭素化することが可能であるため、従来よりも高密度な多孔質炭素モノリスが得られた。さらに、この多孔質炭素モノリスはCO2賦活により、ミクロ孔を導入することが可能であるため、キャパシタ電極として高容量化も期待できる。
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