研究課題/領域番号 |
21K04765
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
神成 尚克 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (90743336)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カーボンアロイ / BNドープカーボン / Nドープカーボン / 窒素ドープ / ホウ素ドープ / 水素化 |
研究実績の概要 |
本年度は、窒素ドープ処理したカーボンを担体としたPd担持触媒を調製し、その水素化触媒活性を評価した。その結果、水素化触媒反応時の生成物選択性が、担体の窒素ドープ処理の有無に依存することが分かった。すなわち、担体カーボンへの異種元素ドープがPd担持触媒の水素化反応選択性制御に有用であることを明らかにした。 昨年度(2021年度)は、含窒素ポリマーであるポリアクリロニトリルをホウ素源存在下で熱処理することによりBCNを調製し、調製条件の選択によりB, N導入量、B,N化学状態の制御が可能であることを明らかにした。これらのBCNの分析を進めた結果、BCNの比表面積は数m2/g程度であり、触媒担体として十分な比表面積を示さないことがわかった。そこで本年度は、担体カーボンへの異種元素ドープが担持金属触媒の水素化触媒活性に及ぼす影響を評価するため、担体として高比表面積を有するカーボン材料の一種である活性炭を用いた。具体的には、窒素ドープ処理を行った活性炭を担体としたPd担持触媒を調製し、その5-ヒドロキシメチルフルフラール(5-HMF)水素化触媒活性を評価した。その結果、担体への窒素ドープ処理の有無により触媒試験時の水素化生成物選択性が大きく異なることを明らかにした。すなわち、未処理担体を用いた触媒の場合、5-HMFの官能基の水素化が選択的に進行する一方、窒素ドープ処理担体を用いた触媒ではフラン環の水素化が選択的に進行することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画していたBNドープカーボンアロイ(BCN)を担体とした金属担持触媒の調製は行えておらず、進捗状況は「やや遅れている」とした。金属担持BCNを調製するためには、BCN担体の高比表面積化ならびに金属担持条件の検討が必要であり、これらは次年度の課題とする。 一方で、「研究実績の概要」に示した通り、窒素ドープカーボン担体を用いたPd担持触媒の水素化触媒活性を検討した結果、異種元素である窒素のドープが触媒反応の選択性制御に有効であることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
高比表面積BCNの調製を試み、それを用いたPd担持BCNの水素化触媒活性を評価する。高比表面積BCNを得る方法として、(1)本研究で調製した低比表面積BCNに対し、賦活による高比表面積化を行う方法、(2)高比表面積を有するカーボン材料へBNドープを行う方法、が挙げられる。これらの方法により得られたBCNを担体としたPd担持触媒を調製し、Pd担持触媒の構造解析ならびに水素化触媒活性を評価することで、担体構造-金属担持状態-水素化触媒活性の関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初対面で参加を予定していた学会にオンラインで参加した。このため旅費として計上していた分の支出が減額され、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、消耗品、旅費の一部として有効に利用する予定である。
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