研究実績の概要 |
グラフェンなどの炭素材料の性能を飛躍的に向上するためには、炭素材料中に存在するエッジやヘテロ元素などといった活性点(または欠陥)を選択的に導入することが求められる。しかし既存の活性点の導入法では、複数種の活性点が導入されており、特性の向上が困難な状況にあった。本研究では、これらの活性点(ピリジニック窒素やピロール窒素、5員環等)を選択的に導入したナノ炭素材料の合成や、類を見ない高精度構造解析法の確立を目指した。活性点が選択的に導入された炭素材料の合成においては、原料の骨格構造の反応性や、反応性の高い官能基を導入することにより、原料を減圧下で加熱するシンプルな方法で、高活性が期待できるピリジニック窒素やピロール窒素、5員環等とその周辺構造が構造制御されたナノ炭素材料を合成した。本研究では、炭素材料の構造制御に求められる原料構造構造を明確化するため、それに関連する分析技術を、種々の分析(赤外分光分析(IR)、Raman分光分析、元素分析、X線光電子分光分析(XPS))に加えて、密度汎関数法による計算や、反応分子動力学計算などを組み合わせ、確立し始めている。本研究成果の一部は、論文として4件Acceptされており(J. Mater. Sci. 57 (2022) 7503-7530, Carbon 185 (2021) 342-367, J. Mater. Sci. 56 (2021) 15798-15811, J. Mater. Sci. 56 (2021) 15698-15717)、炭素材料学会や酸化グラフェン研究会でも発表を行った。その他、特許も2021年度には2件出願している。
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